第6章 吟遊詩人と召喚士
やがて一行は、トロイアに到着した。
そこは見る人見る人が女性であり、男性を一人も見かけないのにセシルは違和感を覚えた。
「全然男の人がいない国なんだね…」
「それはそうですよ。女性だけの国家なんですから。治めているのも女性神官で、……と、教育係が昔言ってました」
知ったかぶりと思われるのがイヤで、ギルバートは最後付け加えた。
「そうなんだ。その女性神官に会って話したいな。土のクリスタルのことで話がしたい」
「僕が交渉してみます」
ギルバートは申し出ると、トロイア住民の女性に「すみません」と声をかけた。
「あら、綺麗なお嬢ちゃんね。何かしら?」
(お嬢ちゃん…?!!)
ギルバートはショックで固まった。
ギルバートの表情を見て、セシル達は哀れに思った。
「………この国を治めていらっしゃる神官様にお会いしたいのですけれど」
いろいろと複雑な感情をグッとこらえてギルバートは言った。
「お姉ちゃん、あたしに何か用?」
すると、ギルバートの背後から少女と思わしき声がかかってきた。
「お姉ちゃん…?!!!」
腑に落ちない表情でギルバートが振り向くと、そこには緑髪の10歳くらいの少女が立っていた。
「あたしがここの神官のリディアだよ。今ね、ちょうどお散歩してたの!あなたは?」
「ギルバート・クリス・フォン・ミューア……吟遊詩人として、ゴルベーザを追って旅をしているダムシアンの『王子』です」
自分は男性であるということをアピールする意図で、ギルバートは『王子』という単語を強調した。
リディアは、ハッと驚いたような顔になった。
「王子様…?!じゃあ、ギルちゃん男の子?!」
「はい…これでも、一応はね。あちらにいる5人は仲間です」
ギルちゃん呼びにはあえて触れず、ギルバートはセシル達の方にサッと手を向けた。
「はじめまして。僕はパラディンのセシル」
「竜騎士のカインだ」
「白魔道士のローザよ」
「同じく白魔道士のポロムですの」
「オイラは黒魔道士のパロムさ!」
「よろしくね、皆」
リディアはにっこりした。
「とりあえず、こんなところで立ち話もなんだし、お城に行こうよ」
「土のクリスタル?それはね、磁力の洞窟にあるよ。場所は地図を渡せるけど、でも……」
リディアは言いにくそうに続けた。
「磁力の洞窟はね、その名の通り洞窟内に磁力が流れてて金属製の装備をしてると身動きがとれなくなるの」
「その磁力は何の為に流れてるの?」
ローザが尋ねる。
「……クリスタルを守る為」
リディアは申し訳なさそうに答えた。
「でもねえちゃん、ゴルベーザは魔道士だから磁力なんてなんのセキュリティにもならないぜ?」
「そうなんだよね~~…」
リディアは、ウーンと頭を悩ませた。
「あなた達がこれから土のクリスタルをゴルベーザから守りに行ってくれるんだよね?ごめんね、大丈夫かな……」
「僕の剣はアウトだね…」
「俺の槍もアウトだな」
セシルとカインが言った。
「私の弓矢は大丈夫かしら…?」
ローザが不安そうに言った。
「ぼ、僕……竪琴が使えなかったとしても、歌でサポートできれば…。足手まといかもしれないですけれど……」
ギルバートはおずおずと発言した。
「安心しな!オイラの黒魔法がついてるぜ!」
「私も、頑張って白魔法でサポートしますわ!」
パロムとポロムが皆を励ますように勇ましく言った。
「ごめんね、皆…。あたしもついていければ…神官だから国を離れられないの。何の為に黒魔法と幻獣の召喚ができるんだろう…」
リディアはたぐいまれなる資質を秘めているようだ。
彼女が幼いながら神官に選ばれた理由が、一同はわかった気がした。
そこは見る人見る人が女性であり、男性を一人も見かけないのにセシルは違和感を覚えた。
「全然男の人がいない国なんだね…」
「それはそうですよ。女性だけの国家なんですから。治めているのも女性神官で、……と、教育係が昔言ってました」
知ったかぶりと思われるのがイヤで、ギルバートは最後付け加えた。
「そうなんだ。その女性神官に会って話したいな。土のクリスタルのことで話がしたい」
「僕が交渉してみます」
ギルバートは申し出ると、トロイア住民の女性に「すみません」と声をかけた。
「あら、綺麗なお嬢ちゃんね。何かしら?」
(お嬢ちゃん…?!!)
ギルバートはショックで固まった。
ギルバートの表情を見て、セシル達は哀れに思った。
「………この国を治めていらっしゃる神官様にお会いしたいのですけれど」
いろいろと複雑な感情をグッとこらえてギルバートは言った。
「お姉ちゃん、あたしに何か用?」
すると、ギルバートの背後から少女と思わしき声がかかってきた。
「お姉ちゃん…?!!!」
腑に落ちない表情でギルバートが振り向くと、そこには緑髪の10歳くらいの少女が立っていた。
「あたしがここの神官のリディアだよ。今ね、ちょうどお散歩してたの!あなたは?」
「ギルバート・クリス・フォン・ミューア……吟遊詩人として、ゴルベーザを追って旅をしているダムシアンの『王子』です」
自分は男性であるということをアピールする意図で、ギルバートは『王子』という単語を強調した。
リディアは、ハッと驚いたような顔になった。
「王子様…?!じゃあ、ギルちゃん男の子?!」
「はい…これでも、一応はね。あちらにいる5人は仲間です」
ギルちゃん呼びにはあえて触れず、ギルバートはセシル達の方にサッと手を向けた。
「はじめまして。僕はパラディンのセシル」
「竜騎士のカインだ」
「白魔道士のローザよ」
「同じく白魔道士のポロムですの」
「オイラは黒魔道士のパロムさ!」
「よろしくね、皆」
リディアはにっこりした。
「とりあえず、こんなところで立ち話もなんだし、お城に行こうよ」
「土のクリスタル?それはね、磁力の洞窟にあるよ。場所は地図を渡せるけど、でも……」
リディアは言いにくそうに続けた。
「磁力の洞窟はね、その名の通り洞窟内に磁力が流れてて金属製の装備をしてると身動きがとれなくなるの」
「その磁力は何の為に流れてるの?」
ローザが尋ねる。
「……クリスタルを守る為」
リディアは申し訳なさそうに答えた。
「でもねえちゃん、ゴルベーザは魔道士だから磁力なんてなんのセキュリティにもならないぜ?」
「そうなんだよね~~…」
リディアは、ウーンと頭を悩ませた。
「あなた達がこれから土のクリスタルをゴルベーザから守りに行ってくれるんだよね?ごめんね、大丈夫かな……」
「僕の剣はアウトだね…」
「俺の槍もアウトだな」
セシルとカインが言った。
「私の弓矢は大丈夫かしら…?」
ローザが不安そうに言った。
「ぼ、僕……竪琴が使えなかったとしても、歌でサポートできれば…。足手まといかもしれないですけれど……」
ギルバートはおずおずと発言した。
「安心しな!オイラの黒魔法がついてるぜ!」
「私も、頑張って白魔法でサポートしますわ!」
パロムとポロムが皆を励ますように勇ましく言った。
「ごめんね、皆…。あたしもついていければ…神官だから国を離れられないの。何の為に黒魔法と幻獣の召喚ができるんだろう…」
リディアはたぐいまれなる資質を秘めているようだ。
彼女が幼いながら神官に選ばれた理由が、一同はわかった気がした。