*フランスからの来訪者*
東京都のとある豪邸。
その一室で、金髪の白人男性がピアノを弾きながら高らかに歌っていた。
「コントゥレヌ〜ドゥラ〜ティラニエ〜♪レトンダーサングランテルヴェ〜♪」
白人男性――エディの歌を聴きながら、同じく金髪碧眼の女児、エディットは目をキラキラさせて聴き入っている。
そこに、赤髪の女性――エディの妻のみほが入って来た。
「なに?その変な歌」
みほはキョトンとしながら尋ねる。
「変な歌って…」
それを聞いてエディは苦笑した。
「フランスの国歌やで。おかあちゃま、意外ときょーよーがないんやなぁ〜」
チッチッチ、とエディットは指を振る。
「5歳児に教養がないって言われた……」
今度はみほが苦笑いを浮かべた。
「ごめんね。変な歌とか言って……」
そして、エディに素直に謝罪した。
「ええねん。わいだって、君が代知らへんかったら『どういう意味の歌なんやろ?』って思うやろうしなぁ。それはそうとみほ、知っとる?お父様とお母様、近々日本に旅行においでになるらしいで」
「えっ?!フランスのお義父様とお義母様が?!」
「うん。そのついでにうちにも寄られるみたいやで。昨日、お母様から電話が来たんよ」
「おじいちゃまとおばあちゃま来るん?!」
エディットはぱあっと顔を輝かせる。
「せやで〜。楽しみやねぇ」
エディはニコニコしながら娘の頭を撫でた。
「いつ来るん?!いつ来るん?!何日?!」
エディットは興奮していて落ち着かない。
「そのうち黙っていたって来るわよ」とみほは笑った。
そして、当日。
「あらーっ!お義父様!お義母様!」
「ご機嫌よう。お久しぶりです」
みほとエディは明るい声で玄関から二人を出迎えた。
「久しいな」
栗毛の紳士、レミは帽子を取って挨拶する。
「ご機嫌麗しゅう」
エディにそっくりな金髪の婦人、ジャンヌはその隣で気品よく微笑んでいる。
「おじいちゃま!おばあちゃま!」
タタタッとエディットが駆け寄ると、レミは途端にデレッととろけたような笑顔になる。
「おお、おお。エディットや。フランス土産もたくさん持ってきたぞ〜」
そして愛おしそうにエディットを抱っこするレミ。
その隣でジャンヌはニコニコしながらエディットの頭を撫でている。
それを見たエディは、薄笑いでこう言った。
「なーんかお父様、エディットには甘くありませんか?私には厳しかったくせにねぇ……」
それを聞いたレミはぎくりとする。
「そうなん?」
「許して差し上げてね。孫は特別可愛くてよ」
小首を傾げるエディットに、ほほえみながらジャンヌが言った。
「あ〜。なるほどねぇ」
みほは納得したようにうんうん頷いた。
「…まあいいでしょう。お茶を淹れますので、どうぞお上がり下さい」
気を取り直してエディは両親を中に通した。
「うむ。邪魔する」
「お邪魔しますわ」
レミとジャンヌは玄関から中に入るが、その時エディットから「お靴は脱いで入るんやで」とアドバイスをもらっていた。
もちろん二人は、孫の助言に従い靴を脱いで家の中に入った。
それから一家3人はレミとジャンヌと他愛ない会話を交え、互いの近況報告などをした。
そしてレミとジャンヌは孫娘と大いに楽しく遊び、満足してフランスに帰って行ったという。
その一室で、金髪の白人男性がピアノを弾きながら高らかに歌っていた。
「コントゥレヌ〜ドゥラ〜ティラニエ〜♪レトンダーサングランテルヴェ〜♪」
白人男性――エディの歌を聴きながら、同じく金髪碧眼の女児、エディットは目をキラキラさせて聴き入っている。
そこに、赤髪の女性――エディの妻のみほが入って来た。
「なに?その変な歌」
みほはキョトンとしながら尋ねる。
「変な歌って…」
それを聞いてエディは苦笑した。
「フランスの国歌やで。おかあちゃま、意外ときょーよーがないんやなぁ〜」
チッチッチ、とエディットは指を振る。
「5歳児に教養がないって言われた……」
今度はみほが苦笑いを浮かべた。
「ごめんね。変な歌とか言って……」
そして、エディに素直に謝罪した。
「ええねん。わいだって、君が代知らへんかったら『どういう意味の歌なんやろ?』って思うやろうしなぁ。それはそうとみほ、知っとる?お父様とお母様、近々日本に旅行においでになるらしいで」
「えっ?!フランスのお義父様とお義母様が?!」
「うん。そのついでにうちにも寄られるみたいやで。昨日、お母様から電話が来たんよ」
「おじいちゃまとおばあちゃま来るん?!」
エディットはぱあっと顔を輝かせる。
「せやで〜。楽しみやねぇ」
エディはニコニコしながら娘の頭を撫でた。
「いつ来るん?!いつ来るん?!何日?!」
エディットは興奮していて落ち着かない。
「そのうち黙っていたって来るわよ」とみほは笑った。
そして、当日。
「あらーっ!お義父様!お義母様!」
「ご機嫌よう。お久しぶりです」
みほとエディは明るい声で玄関から二人を出迎えた。
「久しいな」
栗毛の紳士、レミは帽子を取って挨拶する。
「ご機嫌麗しゅう」
エディにそっくりな金髪の婦人、ジャンヌはその隣で気品よく微笑んでいる。
「おじいちゃま!おばあちゃま!」
タタタッとエディットが駆け寄ると、レミは途端にデレッととろけたような笑顔になる。
「おお、おお。エディットや。フランス土産もたくさん持ってきたぞ〜」
そして愛おしそうにエディットを抱っこするレミ。
その隣でジャンヌはニコニコしながらエディットの頭を撫でている。
それを見たエディは、薄笑いでこう言った。
「なーんかお父様、エディットには甘くありませんか?私には厳しかったくせにねぇ……」
それを聞いたレミはぎくりとする。
「そうなん?」
「許して差し上げてね。孫は特別可愛くてよ」
小首を傾げるエディットに、ほほえみながらジャンヌが言った。
「あ〜。なるほどねぇ」
みほは納得したようにうんうん頷いた。
「…まあいいでしょう。お茶を淹れますので、どうぞお上がり下さい」
気を取り直してエディは両親を中に通した。
「うむ。邪魔する」
「お邪魔しますわ」
レミとジャンヌは玄関から中に入るが、その時エディットから「お靴は脱いで入るんやで」とアドバイスをもらっていた。
もちろん二人は、孫の助言に従い靴を脱いで家の中に入った。
それから一家3人はレミとジャンヌと他愛ない会話を交え、互いの近況報告などをした。
そしてレミとジャンヌは孫娘と大いに楽しく遊び、満足してフランスに帰って行ったという。
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