序章~We lived,and what was prohibited!~
やがて聖域の前に5億の黒い者が現れた時、マナの女神とエステレラは戦争の火蓋が切り落とされたのだと理解した。
マナの女神とエステレラ。たった二人の前に、容赦なき軍勢が集っている。
彼らの揺るぎない憎しみの目付きから、エステレラは感じた。
もう、後戻りはできないと。
これだけの友を失ったのだと…。
自分は、女神エイレンテューナの右腕なのだ。
胸が張り裂けそうになど、なってはならない。
ならないのに。
「…私達は…」
ヘルデウスが口を開く。
「尊厳を勝ち取る!!!」
彼の叫びを合図にするかのように、サタンの軍勢がワアッと動き出す。
ベルフェーゴルとベルゼバブは、目と目で言葉を交わした。
(よし、フェルの作戦通りに、皆に指示を出す…!)
そして、足りない部分が出たら自分たち四天王、ヘルデウスが補うという戦法である。
エステレラが、マナの女神に手出しさせまいと彼女の前に飛び出した。
「かかったっす!!ベルベル!!」
ベルフェーゴルが言った。
彼の狙い目通りだ。
「今だよ、数回束になってエステレラと女神のところに!!
深手を負いそうになったら、グループを変えて交互に!!!
仲間を信じて攻め続けるの!!!!」
ベルゼバブが覇気を纏って指示を出した。
「疲労を感じたらムリしないで、後方に下がって守りに!
二人が前方に出てきたらあたい達四天王がやるけど、できるだけそこから動かせないで!!」
「私と竜太郎もいるわ。
だから、全力でおやり」
どれだけ魔術を駆使しサタンの束を後方におしてもおしても、また息をつかせぬスピードでかかってくる上に、本来の火竜の姿の竜太郎の上に乗ったアスデモスがちょうどその後ろに控えている。
とても厄介だ。
「クッ…!じゃま!!」
軍勢を押し切ってエステレラは前へ出ようとするが、
『ゴギャアアアア!!!!!!』
竜太郎の吐いた豪火で、それは阻まれてしまう。
竜太郎もきっと、怒りに戦慄いているのだろう。
この火竜に炎を浴びせられそうになったのは、これが初めてだ。
こんな戦いが数時間続き、さすがのマナの女神やエステレラも焦りを感じた。
『キリがありませんね…!』
「悪いけど、いくよっ!!
そこの5人!!!」
ハエ騎士団も疲れ、動けない者もいる今がチャンス!
エステレラとマナの女神は前方に飛び出した。
「おっと!来たねっ!」
「ッ!!」
ベルゼバブに不意をつかれた。
エステレラに、漆黒の槍で閃光のような連続の突きを放ってきたのだ。
多彩な方向からの猛攻に、エステレラはよけることで精一杯だった。
『エステレラ!!』
「おやおや。よそ見をしてちゃあ危ないよ?」
マナの女神に、ルシファーが漆黒の大鎌を突き付けた。
「ご存知かな?私の武器で首を奪われた者は、魂ごと奪われてしまうということを…」
ルシファーの冷たい笑みを、生来の整った顔立ちが不気味に演出した。
マナの女神は思わず息を飲んだ。
「まっ、それもまた一興だが…。
恋人同士のいざこざは、恋人同士。ヘルデウス様にお譲りすると致しましょう」
皮肉めいた口調で吐き捨て、ルシファーはヘルデウスの後ろに下がった。
マナの女神とエステレラ。たった二人の前に、容赦なき軍勢が集っている。
彼らの揺るぎない憎しみの目付きから、エステレラは感じた。
もう、後戻りはできないと。
これだけの友を失ったのだと…。
自分は、女神エイレンテューナの右腕なのだ。
胸が張り裂けそうになど、なってはならない。
ならないのに。
「…私達は…」
ヘルデウスが口を開く。
「尊厳を勝ち取る!!!」
彼の叫びを合図にするかのように、サタンの軍勢がワアッと動き出す。
ベルフェーゴルとベルゼバブは、目と目で言葉を交わした。
(よし、フェルの作戦通りに、皆に指示を出す…!)
そして、足りない部分が出たら自分たち四天王、ヘルデウスが補うという戦法である。
エステレラが、マナの女神に手出しさせまいと彼女の前に飛び出した。
「かかったっす!!ベルベル!!」
ベルフェーゴルが言った。
彼の狙い目通りだ。
「今だよ、数回束になってエステレラと女神のところに!!
深手を負いそうになったら、グループを変えて交互に!!!
仲間を信じて攻め続けるの!!!!」
ベルゼバブが覇気を纏って指示を出した。
「疲労を感じたらムリしないで、後方に下がって守りに!
二人が前方に出てきたらあたい達四天王がやるけど、できるだけそこから動かせないで!!」
「私と竜太郎もいるわ。
だから、全力でおやり」
どれだけ魔術を駆使しサタンの束を後方におしてもおしても、また息をつかせぬスピードでかかってくる上に、本来の火竜の姿の竜太郎の上に乗ったアスデモスがちょうどその後ろに控えている。
とても厄介だ。
「クッ…!じゃま!!」
軍勢を押し切ってエステレラは前へ出ようとするが、
『ゴギャアアアア!!!!!!』
竜太郎の吐いた豪火で、それは阻まれてしまう。
竜太郎もきっと、怒りに戦慄いているのだろう。
この火竜に炎を浴びせられそうになったのは、これが初めてだ。
こんな戦いが数時間続き、さすがのマナの女神やエステレラも焦りを感じた。
『キリがありませんね…!』
「悪いけど、いくよっ!!
そこの5人!!!」
ハエ騎士団も疲れ、動けない者もいる今がチャンス!
エステレラとマナの女神は前方に飛び出した。
「おっと!来たねっ!」
「ッ!!」
ベルゼバブに不意をつかれた。
エステレラに、漆黒の槍で閃光のような連続の突きを放ってきたのだ。
多彩な方向からの猛攻に、エステレラはよけることで精一杯だった。
『エステレラ!!』
「おやおや。よそ見をしてちゃあ危ないよ?」
マナの女神に、ルシファーが漆黒の大鎌を突き付けた。
「ご存知かな?私の武器で首を奪われた者は、魂ごと奪われてしまうということを…」
ルシファーの冷たい笑みを、生来の整った顔立ちが不気味に演出した。
マナの女神は思わず息を飲んだ。
「まっ、それもまた一興だが…。
恋人同士のいざこざは、恋人同士。ヘルデウス様にお譲りすると致しましょう」
皮肉めいた口調で吐き捨て、ルシファーはヘルデウスの後ろに下がった。