序章~We lived,and what was prohibited!~
心を鬼にして、大切な者より世界を選び抜く。
その全ては、ヘルデウスにも心の声として伝わっていた。
ゆえにヘルデウスのほうは、踏み切れずにいた。
人間は憎い。
しかし、情を捨てたくはない。
そんな"悪魔王"の優しさは、次の瞬間打ち砕かれた。
『もう私にとって、あなたは排除の対象なのよ!!
あなたがここにいる事が、私を苦しませている!わからないんですか!』
違うのに。
排除などしたくないから、恋人と一緒にいる事がかなわないから、苦しいのに…。
自分は、何を言っているのだろう?
マナの女神は、今にも泣き出しそうな割れるような声を、自分でも気づかないうちに出していた。
はっきり存在を否定する、その悲痛な怒鳴り声。
温厚な恋人が、自分がいるからここまで豹変している。
ヘルデウスにはもう、感情をコントロールできず、自分が笑っていることすら気付いていなかった。
フ…フフフ…と声というには微量すぎる音がもれる。
(…ヘル、デウス…?)
マナの女神は、びくりと華奢な肩を震わせた。
「…フフ…、フハハハハハハハハハハッ!!!!!!!!!!!!!!」
涙を流しながら、突然笑いだした目前の男。
狂わせてしまった。
そんな罪悪感と、若干の恐怖にマナの女神の体はこわばった。
「…こんな……。こんな世界……」
悪魔王の顔が、狂気と愛憎に歪んだ。
「私より、このような醜悪な世界を…人間どもを選ぶと言うのならば……」
目は憎悪と悲しみに濡れているが、口元はつり上がっている。
嗚呼、彼のこんな顔を見なければならなかったとは。
「この私自身の手で、その人間どもを一人残らず消してくれよう」
これは宣戦布告だ。
マナの女神は、全てを受け入れた。
聖域での出来事は、サタンや竜太郎にも知らされた。
他ならぬ、ヘルデウスの口から。
「私はお前達全員の味方だ」
ヘルデウスは、強さの感じられる瞳で一同に語る。
「お前達を守る為、女神とエステレラと戦火を交える」
「なら、あたい達も戦います!!
あたい達、組織を結成したんです!!」
ベルゼバブが力強く申し出た。
「あたい達四天王が、みんなを指揮します!
サタン5億、そして竜太郎!一丸となって、誇りを守ってみせる!!
だから、一緒に戦わせて下さい!!」
ベルゼバブのきびきびした勇ましさに、ヘルデウスは頼もしさを感じずにはいられなかった。
「これではっきりしたね。
愛や友情にすがるのは甘えになるという事は」
ルシファーが冷徹に言った。
「そうよ。私達、甘かった。
ヘルデウス様は恋人に裏切りを受けられたし、私達は友達であるエステレラに後々攻撃されるんだわ…」
「一切の甘さを捨てて、全身全霊をもって制圧するっす。
愛を信じたら、この戦いは敗北確実…」
アスデモス、ベルフェーゴルが言った。
「情を消し、"悪魔"になる……」
ベルフェーゴルの目が、まるで別人のようにキッと変わった。
「あたぼうよ。
あんなヤツラ、わざわざかける情なんざねえ。
あの裏切り者どもが。信用ならねえ」
竜太郎が低く言った。
「その通りだ。お前達」
ヘルデウスは凛と肯定する。
「この恥辱を忘れるな。
死ねと言われるたびに、命の焔を燃やしてみろ。
私が、皆の想いを一身に背負おう」
そして、拳を天に突き上げた。
「マナの者を消し、人類を消し、地上を我らが帝国にするのだ!!
誰にも非難される事なき幸福に満ちた、我らのみの居場所を築き上げよう!!!」
神殿が、猛々しい士気に溢れる叫びで覆われた。
その全ては、ヘルデウスにも心の声として伝わっていた。
ゆえにヘルデウスのほうは、踏み切れずにいた。
人間は憎い。
しかし、情を捨てたくはない。
そんな"悪魔王"の優しさは、次の瞬間打ち砕かれた。
『もう私にとって、あなたは排除の対象なのよ!!
あなたがここにいる事が、私を苦しませている!わからないんですか!』
違うのに。
排除などしたくないから、恋人と一緒にいる事がかなわないから、苦しいのに…。
自分は、何を言っているのだろう?
マナの女神は、今にも泣き出しそうな割れるような声を、自分でも気づかないうちに出していた。
はっきり存在を否定する、その悲痛な怒鳴り声。
温厚な恋人が、自分がいるからここまで豹変している。
ヘルデウスにはもう、感情をコントロールできず、自分が笑っていることすら気付いていなかった。
フ…フフフ…と声というには微量すぎる音がもれる。
(…ヘル、デウス…?)
マナの女神は、びくりと華奢な肩を震わせた。
「…フフ…、フハハハハハハハハハハッ!!!!!!!!!!!!!!」
涙を流しながら、突然笑いだした目前の男。
狂わせてしまった。
そんな罪悪感と、若干の恐怖にマナの女神の体はこわばった。
「…こんな……。こんな世界……」
悪魔王の顔が、狂気と愛憎に歪んだ。
「私より、このような醜悪な世界を…人間どもを選ぶと言うのならば……」
目は憎悪と悲しみに濡れているが、口元はつり上がっている。
嗚呼、彼のこんな顔を見なければならなかったとは。
「この私自身の手で、その人間どもを一人残らず消してくれよう」
これは宣戦布告だ。
マナの女神は、全てを受け入れた。
聖域での出来事は、サタンや竜太郎にも知らされた。
他ならぬ、ヘルデウスの口から。
「私はお前達全員の味方だ」
ヘルデウスは、強さの感じられる瞳で一同に語る。
「お前達を守る為、女神とエステレラと戦火を交える」
「なら、あたい達も戦います!!
あたい達、組織を結成したんです!!」
ベルゼバブが力強く申し出た。
「あたい達四天王が、みんなを指揮します!
サタン5億、そして竜太郎!一丸となって、誇りを守ってみせる!!
だから、一緒に戦わせて下さい!!」
ベルゼバブのきびきびした勇ましさに、ヘルデウスは頼もしさを感じずにはいられなかった。
「これではっきりしたね。
愛や友情にすがるのは甘えになるという事は」
ルシファーが冷徹に言った。
「そうよ。私達、甘かった。
ヘルデウス様は恋人に裏切りを受けられたし、私達は友達であるエステレラに後々攻撃されるんだわ…」
「一切の甘さを捨てて、全身全霊をもって制圧するっす。
愛を信じたら、この戦いは敗北確実…」
アスデモス、ベルフェーゴルが言った。
「情を消し、"悪魔"になる……」
ベルフェーゴルの目が、まるで別人のようにキッと変わった。
「あたぼうよ。
あんなヤツラ、わざわざかける情なんざねえ。
あの裏切り者どもが。信用ならねえ」
竜太郎が低く言った。
「その通りだ。お前達」
ヘルデウスは凛と肯定する。
「この恥辱を忘れるな。
死ねと言われるたびに、命の焔を燃やしてみろ。
私が、皆の想いを一身に背負おう」
そして、拳を天に突き上げた。
「マナの者を消し、人類を消し、地上を我らが帝国にするのだ!!
誰にも非難される事なき幸福に満ちた、我らのみの居場所を築き上げよう!!!」
神殿が、猛々しい士気に溢れる叫びで覆われた。