序章~We lived,and what was prohibited!~
「なら私は、副将軍になるわ。
竜太郎も、一緒に戦ってくれるわよね?」
アスデモスに、裾の取り払われた着物の下にズボンをはいた逞しい体つきの短髪の青年―――人の姿に変身している竜太郎は人類やマナの女神達への憎しみに眼をぎらつかせたまま頷いた。
「勿論だとも。見損なったぜ、あいつら。
アニーお姉様やヘルデウス様にどこまでもついてくさ」
「決まりっすね。じゃあおいらは、作戦・立案を。
頭脳戦でもいいなら、格闘技が四天王ワーストワンで魔術しか取り柄のないおいらでも役に立てるっすから」
ベルフェーゴルが立候補した。
「いいね。君の智力は最高に頼もしい。
私は、法を作ろう‥‥窮屈かも知れないが、烏合の衆でいては勝つものも勝てないからね。
もちろん、ベルゼバブ嬢やアスデモス嬢の統率力を信じていないわけではないけれど」
ルシファーの提案にも、反論するサタンはいない。
それを理解して、ルシファーは続けた。
「まず第一の法は、将軍の指揮に従うこと。
彼女達は強者だ。頼りになる。
第二の法は、ヘルデウス様に次いで最たる武力・魔力のある私達四天王以外は、必ずグループで戦うこと。相手が相手だ。
今はこれだけ、約束してもらってもいいかな?」
全員、気を引き締めて頷いた。
「ありがとう。私も全力をもって共闘するからね」
「あとは、おかみの判断をあおぐだけっす…。
ヘルデウス様が、女神が、エステレラが、どうでるのか…。
行動するのは、それからっす。
…それまで、この頭を回転させられるだけ回転させるっすよ」
「よし!見てなよ!」
ダン!とベルゼバブの漆黒の槍の先端が床を激しく突いた。
「ハエ騎士団の誕生だ!!!」
一方、時を同じくして。
聖域にも、絶望が生じていた。
「…では…、エイレンテューナよ…。
お前は、私を……」
ヘルデウスの顔は蒼白になっている。
「私達を、裏切るというのか?」
マナの女神は、苦しそうな表情で俯いている。
その唇が、震えながら声を発した。
『―――"悪魔は、この世界にいてはいけない存在"……』
「人間が、そう思っているからか?!」
ヘルデウスの声は、震えながらも荒い。
「わ、私達は……。愛し合っているはずだ……」
『ええ。愛しています……』
マナの女神の目に、かすかな力が宿った。
『しかし、私はこの世界を司る女神…。
"悪魔王ヘルデウスの恋人"であると同時に、"女神エイレンテューナ"でもあるのです…。
人間を……。守護しなくてはならない』
「守護しなくてはならない?!私が彼らに何の罪を犯した?!
他のサタンが地上で何の罪を働いた?!
私は…!私達サタンは、裁かれる大罪などありはしない!!!
悪魔と呼ばれる筋合いなどない!!
エイレンテューナ…ッ!理不尽だ!」
ヘルデウスの抗議はもっともだ。
マナの女神とて、それを痛いほど理解している。
だが、女神である以上、認めるわけにはいかないのだ。
何もしないわけにはいかないのだ。
苦しくてたまらないが、自分は恋人を、そして友を捨てなくてはいけない…。
竜太郎も、一緒に戦ってくれるわよね?」
アスデモスに、裾の取り払われた着物の下にズボンをはいた逞しい体つきの短髪の青年―――人の姿に変身している竜太郎は人類やマナの女神達への憎しみに眼をぎらつかせたまま頷いた。
「勿論だとも。見損なったぜ、あいつら。
アニーお姉様やヘルデウス様にどこまでもついてくさ」
「決まりっすね。じゃあおいらは、作戦・立案を。
頭脳戦でもいいなら、格闘技が四天王ワーストワンで魔術しか取り柄のないおいらでも役に立てるっすから」
ベルフェーゴルが立候補した。
「いいね。君の智力は最高に頼もしい。
私は、法を作ろう‥‥窮屈かも知れないが、烏合の衆でいては勝つものも勝てないからね。
もちろん、ベルゼバブ嬢やアスデモス嬢の統率力を信じていないわけではないけれど」
ルシファーの提案にも、反論するサタンはいない。
それを理解して、ルシファーは続けた。
「まず第一の法は、将軍の指揮に従うこと。
彼女達は強者だ。頼りになる。
第二の法は、ヘルデウス様に次いで最たる武力・魔力のある私達四天王以外は、必ずグループで戦うこと。相手が相手だ。
今はこれだけ、約束してもらってもいいかな?」
全員、気を引き締めて頷いた。
「ありがとう。私も全力をもって共闘するからね」
「あとは、おかみの判断をあおぐだけっす…。
ヘルデウス様が、女神が、エステレラが、どうでるのか…。
行動するのは、それからっす。
…それまで、この頭を回転させられるだけ回転させるっすよ」
「よし!見てなよ!」
ダン!とベルゼバブの漆黒の槍の先端が床を激しく突いた。
「ハエ騎士団の誕生だ!!!」
一方、時を同じくして。
聖域にも、絶望が生じていた。
「…では…、エイレンテューナよ…。
お前は、私を……」
ヘルデウスの顔は蒼白になっている。
「私達を、裏切るというのか?」
マナの女神は、苦しそうな表情で俯いている。
その唇が、震えながら声を発した。
『―――"悪魔は、この世界にいてはいけない存在"……』
「人間が、そう思っているからか?!」
ヘルデウスの声は、震えながらも荒い。
「わ、私達は……。愛し合っているはずだ……」
『ええ。愛しています……』
マナの女神の目に、かすかな力が宿った。
『しかし、私はこの世界を司る女神…。
"悪魔王ヘルデウスの恋人"であると同時に、"女神エイレンテューナ"でもあるのです…。
人間を……。守護しなくてはならない』
「守護しなくてはならない?!私が彼らに何の罪を犯した?!
他のサタンが地上で何の罪を働いた?!
私は…!私達サタンは、裁かれる大罪などありはしない!!!
悪魔と呼ばれる筋合いなどない!!
エイレンテューナ…ッ!理不尽だ!」
ヘルデウスの抗議はもっともだ。
マナの女神とて、それを痛いほど理解している。
だが、女神である以上、認めるわけにはいかないのだ。
何もしないわけにはいかないのだ。
苦しくてたまらないが、自分は恋人を、そして友を捨てなくてはいけない…。