第6章 切られし戦いの火蓋
その頃、神殿ではエディがイリスェントに訓練を受けていた。
修行のいっかんで、連続で来る射撃の弾をよけきるというものである。
勿論、弾がゴム弾なので死にはしないが、それでもエディの顔を青ざめさせるにはじゅうぶんだ。
「いいぞ!そのままよけるのである!」
アサルトライフルを乱射しながら、イリスェントが叫んだ。
「い、いくら方角師のチカラがあるからって、それを鍛えるためだからって、これはあらへんがなああああ!」
必要最小限かつ多彩な動きで弾の嵐を掻い潜りながら、エディが弱音を吐く。
「シアンもチェンも、この試練を簡単にクリアしたのである!
またいつ戦争になってもいいように、君も同じくらい強くなるのである!」
「そんなああ!死ぬ――――――っ!」
死ぬと言いつつも、エディの体には傷ひとつついてない。
イリスェントはそれを見て、さらに乱射を続けた。
「ほらほら、君にもできるではないか!
もっと行くであるよ!!」
「でけへんと蜂の巣やがなぁ!!
来んといて――――――――っ!!」
エディの顔がますます真っ青になった。
神殿で、3代目方角師が青ざめている頃。
地獄の城の訓練室では、人型に化けた剣一が静かに歓喜にうち震えていた。
いつものポーカーフェイスが、喜びで上気している。
「よお!なーにしてんだ?
ひとりしてんなとこで?
ん?」
そこに、同じく人型の竜太郎がやって来た。
「そんなにプルプルしてっとなあ、じいさんみてえだぞ?」
ニヤニヤしながら突っかかってくる竜太郎。
いつもなら相手にしないところだが、特別機嫌のいい剣一は彼のほうを振り返った。
「…拙者は、ついに会得した。
伸縮自在になれる術を。
これで、イリスェント・ガル・ラ・オルデシアに勝てるやも知れぬ」
「へー!アロケルじじいが振り回さなくても相手に襲い掛かれる上に、でかくもなれるようになったか!
こりゃまたおったまげた!」
剣一は、どことなく満足そうだ。
「…これで…。主君の役に立てる……。
立ってみせまする……」
「アロケルじじいの?」
「さよう。
主君は、拙者にとっての救い主。
命でござるゆえ」
剣一は、切れ長の目を伏せた。
「拙者は……。主君と出会う以前は、倭区域で手に触れずとも他者を切り伏せる曰く付きの妖刀として人々に恐れられ、多くの者のもとを転々として参った。
自分は何者なのか。何のために生きているのか。
そのような疑問は、主君が使い魔のチカラを下さり、武器として下さった時になくなった。
それまで主君ご自身にしっくりくる剣を見つけられずにいた所をほんの偶然で発見されたという、そんな形でも…。
拙者にとっては、命にかえても守らねばならぬ主君なのでござる」
修行のいっかんで、連続で来る射撃の弾をよけきるというものである。
勿論、弾がゴム弾なので死にはしないが、それでもエディの顔を青ざめさせるにはじゅうぶんだ。
「いいぞ!そのままよけるのである!」
アサルトライフルを乱射しながら、イリスェントが叫んだ。
「い、いくら方角師のチカラがあるからって、それを鍛えるためだからって、これはあらへんがなああああ!」
必要最小限かつ多彩な動きで弾の嵐を掻い潜りながら、エディが弱音を吐く。
「シアンもチェンも、この試練を簡単にクリアしたのである!
またいつ戦争になってもいいように、君も同じくらい強くなるのである!」
「そんなああ!死ぬ――――――っ!」
死ぬと言いつつも、エディの体には傷ひとつついてない。
イリスェントはそれを見て、さらに乱射を続けた。
「ほらほら、君にもできるではないか!
もっと行くであるよ!!」
「でけへんと蜂の巣やがなぁ!!
来んといて――――――――っ!!」
エディの顔がますます真っ青になった。
神殿で、3代目方角師が青ざめている頃。
地獄の城の訓練室では、人型に化けた剣一が静かに歓喜にうち震えていた。
いつものポーカーフェイスが、喜びで上気している。
「よお!なーにしてんだ?
ひとりしてんなとこで?
ん?」
そこに、同じく人型の竜太郎がやって来た。
「そんなにプルプルしてっとなあ、じいさんみてえだぞ?」
ニヤニヤしながら突っかかってくる竜太郎。
いつもなら相手にしないところだが、特別機嫌のいい剣一は彼のほうを振り返った。
「…拙者は、ついに会得した。
伸縮自在になれる術を。
これで、イリスェント・ガル・ラ・オルデシアに勝てるやも知れぬ」
「へー!アロケルじじいが振り回さなくても相手に襲い掛かれる上に、でかくもなれるようになったか!
こりゃまたおったまげた!」
剣一は、どことなく満足そうだ。
「…これで…。主君の役に立てる……。
立ってみせまする……」
「アロケルじじいの?」
「さよう。
主君は、拙者にとっての救い主。
命でござるゆえ」
剣一は、切れ長の目を伏せた。
「拙者は……。主君と出会う以前は、倭区域で手に触れずとも他者を切り伏せる曰く付きの妖刀として人々に恐れられ、多くの者のもとを転々として参った。
自分は何者なのか。何のために生きているのか。
そのような疑問は、主君が使い魔のチカラを下さり、武器として下さった時になくなった。
それまで主君ご自身にしっくりくる剣を見つけられずにいた所をほんの偶然で発見されたという、そんな形でも…。
拙者にとっては、命にかえても守らねばならぬ主君なのでござる」