第5章 狂おしき運命の旋律
その後、ヘルデウスの部屋へ向かう最中。
廊下でアミーは、人の姿をした剣一とばったりすれ違った。
「…よう」
アミーがぶっきらぼうに挨拶する。
「…何やら、不機嫌でござりまするな。
いかがなされた?」
「テメーの知った事か。
アダム・ウィリアムズの姉貴を殺ってきただけだ。
そいつがひどくわけわかんねーんだよ。
人間ってホント、なんなんだか」
知った事かと言いながら、ペラペラと悩みを打ち明けるアミー。
剣一は、表情ひとつ変えずに聞いている。
「それは難儀にござりましたな。
拙者も、人間に関してはよくわかりませぬ。
わかりませぬが……。マナ一族に関しての怨みは、よくわかりまする」
「…………」
「初代学者、イリスェント・ガル・ラ・オルデシア。
彼は数百年前、主君の目が悪いのを良い事にアサルトライフルを乱射し、主君を負かしました……。
拙者が弾丸を真っ二つに叩き斬れれば、あのような事には…。
いずれは、彼は拙者が倒しまする」
目の色を変えた剣一を見て、たいした忠誠心だとアミーは思った。
自分も見習わなければとも。
「お前は使い魔だけど、そうとうマナ一族への怨みは根深いようだな…。
竜太郎もだけどよ」
「主(あるじ)に敵対する者は、拙者達使い魔の敵でもありまするゆえな」
「あ、あのドラゴンって、使い魔扱いで良かったのか…。あー良かった。
まるっきりペットだからよ…」
「そのような安堵しきった顔で、話を脱線させないで下さるか」
自分の発言にホッと胸を撫で下ろすアミーに、静かに剣一は物申した。
「だって竜太郎ってアホいじゃん。
人をアミーゴ呼ばわりするし」
「それも関係がありませぬ」
「ちっ、クソ真面目だな…」
そうこうしているうちに、ヘルデウスの部屋の前まで到着した。
「ほら、着きまして御座る」
「おう。またな」
コンコンとドアをノックした後、アミーは入室した。
剣一は静かに、主の元へと戻りにその場を立ち去って行った。
「Oh!これを、ボクが持つの?!」
アダムは、手渡された物に恐怖を覚えた。
持つ手が震える。
渡されたそれは―――‥‥。
「怖いよ!拳銃なんて撃てないよ!!
だ、誰かを撃つなんて怖いよ……!」
「しかし、君は武器を何も持っていないであろう?
我が輩のそれをあげるのである。
それでサタンと戦うのである」
どうやらアダムの恐れている物は、イリスェントが渡したようだ。
アダムはまだ震えている。
覚醒前、戦争で銃声をたくさん聞いてきた。
撃たれ死にゆく両親を目にした。
怖い。
たとえサタン相手であろうと、引き金を引くことなど指が震えて出来ない。
「怖いよ、イリスェント!
ボクこんなの使いたくない!
他人を撃つなんてできないよ!!」
恐怖から青ざめてすらいるアダムに、イリスェントは静かに告げた。
「自分の身は、自分で守るのである。
我が輩のやるべき事は、その方法を伝授する事なのである。
今日から共に射撃の訓練をする」
「イリスェント、助けてくれないの?!
ボク、まだ覚醒したばかりなんだよ?!」
アダムの目に、じわりと涙が滲み出す。
廊下でアミーは、人の姿をした剣一とばったりすれ違った。
「…よう」
アミーがぶっきらぼうに挨拶する。
「…何やら、不機嫌でござりまするな。
いかがなされた?」
「テメーの知った事か。
アダム・ウィリアムズの姉貴を殺ってきただけだ。
そいつがひどくわけわかんねーんだよ。
人間ってホント、なんなんだか」
知った事かと言いながら、ペラペラと悩みを打ち明けるアミー。
剣一は、表情ひとつ変えずに聞いている。
「それは難儀にござりましたな。
拙者も、人間に関してはよくわかりませぬ。
わかりませぬが……。マナ一族に関しての怨みは、よくわかりまする」
「…………」
「初代学者、イリスェント・ガル・ラ・オルデシア。
彼は数百年前、主君の目が悪いのを良い事にアサルトライフルを乱射し、主君を負かしました……。
拙者が弾丸を真っ二つに叩き斬れれば、あのような事には…。
いずれは、彼は拙者が倒しまする」
目の色を変えた剣一を見て、たいした忠誠心だとアミーは思った。
自分も見習わなければとも。
「お前は使い魔だけど、そうとうマナ一族への怨みは根深いようだな…。
竜太郎もだけどよ」
「主(あるじ)に敵対する者は、拙者達使い魔の敵でもありまするゆえな」
「あ、あのドラゴンって、使い魔扱いで良かったのか…。あー良かった。
まるっきりペットだからよ…」
「そのような安堵しきった顔で、話を脱線させないで下さるか」
自分の発言にホッと胸を撫で下ろすアミーに、静かに剣一は物申した。
「だって竜太郎ってアホいじゃん。
人をアミーゴ呼ばわりするし」
「それも関係がありませぬ」
「ちっ、クソ真面目だな…」
そうこうしているうちに、ヘルデウスの部屋の前まで到着した。
「ほら、着きまして御座る」
「おう。またな」
コンコンとドアをノックした後、アミーは入室した。
剣一は静かに、主の元へと戻りにその場を立ち去って行った。
「Oh!これを、ボクが持つの?!」
アダムは、手渡された物に恐怖を覚えた。
持つ手が震える。
渡されたそれは―――‥‥。
「怖いよ!拳銃なんて撃てないよ!!
だ、誰かを撃つなんて怖いよ……!」
「しかし、君は武器を何も持っていないであろう?
我が輩のそれをあげるのである。
それでサタンと戦うのである」
どうやらアダムの恐れている物は、イリスェントが渡したようだ。
アダムはまだ震えている。
覚醒前、戦争で銃声をたくさん聞いてきた。
撃たれ死にゆく両親を目にした。
怖い。
たとえサタン相手であろうと、引き金を引くことなど指が震えて出来ない。
「怖いよ、イリスェント!
ボクこんなの使いたくない!
他人を撃つなんてできないよ!!」
恐怖から青ざめてすらいるアダムに、イリスェントは静かに告げた。
「自分の身は、自分で守るのである。
我が輩のやるべき事は、その方法を伝授する事なのである。
今日から共に射撃の訓練をする」
「イリスェント、助けてくれないの?!
ボク、まだ覚醒したばかりなんだよ?!」
アダムの目に、じわりと涙が滲み出す。