第4章 Definition of happiness and friendship

「おじいちゃんの剣、かっこよかね」
チョルくんは、アロケルの腰で鞘に収まっている両手剣を指した。
「持ってみてもよかと?」
「仕方がないこわっぱじゃ……無理だとは思うが、ほれ」
チョルくんがあんまりキラキラした目で見るもので、アロケルはつい折れた。
アロケルから鞘に収まった状態の両手剣を受け取るや否や、剣はズシッと鉛のように重くなり、チョルくんは剣を持ったまま固まった。
「おじいちゃん、どんだけ力持ちなんよ……」
「その剣は、わしにしか扱えんようにできておる。
剣一は、わしの言うことしかきかん」
「剣一?!武器に名前つけとうとか?!」
「まあ武器であり、使い魔でもあるのようなものだ」
「はあ~…」  
チョルくんが納得していると、何者かに扉が開かれた。
サブナクとレヴィアタンだ。
「あ゙~~っ!!アロケルじじい、人質なんかに武器触らせてる~~!
人間の手垢が付くよっと!」
「うえーっ、ばっちーっ」
あからさまに嫌な顔で悪態をつく二人に、アロケルの雷が落ちた。
「じゃかあしい!!!!!
わしの武器なんじゃ!!!
わしが触らせるのを許可して、何が悪い!!!!!!!」
しゃがれた大声がいつもの倍大きい。
これには、サブナクもレヴィアタンも一瞬硬直した。
だが、チョルくんは違った。
自分をかばってくれたのだという、アロケルの優しさを感じ取り、温かい喜びに包まれている。
「…ふ、ふんっ!意味わかんない!
人間をかばうなんて、気が触れたとしか思えないっと!」
サブナクが毒づいた。
「そ、そうだな。キチガイジジイの相手なんてしてらんねえ」
レヴィアタンは皮肉に笑った。
「なんじゃと貴様らあああ!!!!!
わしゃあ正気じゃ!!誰より正気じゃわい!!!!!!!!!」
アロケルの大声が倍になる。
これにはたまらず、レヴィアタンもサブナクも室外に逃げ出した。
その時のサブナクの、「くそじじ――っ」という捨て台詞に、アロケルは思った。
礼儀がなっとらん!と。
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