第2章 バカげた生き方!

地獄の城の厨房に、ジャジャ――ン♪と見えない悪魔の楽隊による音楽が鳴り響く。
「ちょっと、どうゆうことなのよおおお?!!!」
それとほぼ同時に、パイモンの登場だ。
「うわっ?!」
焼いたクッキーを皿に乗せていたみつあみで眼鏡をかけた優しい面立ちの悪魔、アカーコックはビクッと肩を揺らして驚いた。
「な、なんですか?!いま、ベルフェーゴル様にお出しするチョコレートクッキーを焼いていたというのに!!」
アカーコックの心臓は、まだドキドキバクバクしている。
「いやぁん、ごめんなさい!!!
あなたそういえば、ベルフェーゴル様に仕えてるんだったわね……。
―――って、そうじゃないの!!!!!!区域のはずれにモンスターを召喚しまくったのに、3代目マナ一族ったら誰一人くたばらずに天上界ついてんの!
これって私達サタンの苦労が水の泡なんじゃない!!!!
あんまりよおおおお!!!!!!!!!!!!」
パイモンがあまりにも大声を出したので、周囲のコップが一斉に割れ、軽い揺れすら起きた。
「ちょっ、落ち着いてください!
そりゃ僕も悔しいですけど……叫ぶならよそでやってくださいよ~!!」
「コックさん!いつかあんたの自慢の武器・フライパンで、3代目全員の脳天ぶん殴ってちょうだいね!!!!」
「そうします、そうします……ですからもう出ましょう……」
このままでは厨房の食器棚が倒されかねない。
追いやるように、アカーコックは苦笑いを顔に貼り付け二人で廊下に出た。
「あっ、クッキーだ!」
「うまそ~だね、フュル~~!」
偶然鉢合わせたアンドロアルフュスとフォルネウスが、顔を輝かせた。
「これから、ベルフェーゴル様にお出しするんです。
あなたがたもいかがですか?
良かったらパイモンも」
アカーコックはにっこりと対応した。
「ひゃっほう!みんなでクッキーパーティーだ~!」
フォルネウスがバンザイをした。
「嬉しい~!!私も食べていいのぉん!!?」
パイモンも大喜びだ。
「じゃあじゃああたし、ベルゼバブ様も呼んでくる!
ベルゼバブ様もクッキー大好きだしね!
三人ともそこで待っててね!」
アンドロアルフュスは、ベルゼバブ様~おやつしましょ~!と明るい声を発しながら、嬉々として走り去って行った。
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