第2章 バカげた生き方!
一方、天上界の神殿では。
チェンが部屋で、一人特訓を行っていた。
棍棒を使い、格闘家達に教わったと思わしき武術をひたすら訓練する彼女のところに、みほがやって来た。
「ちわー。お疲れ」
「あれ?ひょっとして部屋のドア開いてた?」
手を止め、チェンはみほのほうを振り向く。
「たはは…。この神殿、広いから未だに迷っちゃってさ。
チェンは、戦いの特訓してたの?へぇー、棍棒使うんだ」
みほは、チェンの、持ち主の背丈より長い棍棒をしげしげと見詰める。
「うん!ほんとは、もっと重たい武器使えたらいいんだけど…、私力弱いから。
とりえは、方角師の素早さと身のこなしの能力くらいだよ」
「あら。チェンはもっととりえいっぱいあるわ」
「もーっ、みほったら!」
チェンは頬を赤くして照れた。
「とりえと言えばさ、ウォークマスターはどれだけ動いても疲れ知らずだし、パワーもあるから格闘家みたいに素手でも戦えるのがとりえだよね!
技術や魔力はそこそこでも、パワーはナンバーワンだもん!羨ましいな~」
「そっか…あたしって凄かったんだ…」
「も~なにしみじみしちゃってんの~」
チェンはクスクス笑った。
「私も、みほみたく強くなりたいな…。
いつかは、タオを守れるくらいに…」
「タオを?」
「うん。タオは、いっぱい私を守ってくれたもん。
私達、小さい頃から二人で生きてきたんだけど……タオは私をいつも守ってくれた。
悪になってでも」
「悪になってでも…?」
みほは、耳を疑った。
正義であるはずのマナ一族が、悪になった?
「私達、頼りを失ったの。
というより、家から逃げ出したからかな。
私達は能力にめざめてる、そしてその頼りに殺されかねないと判断したタオと一緒にね」
「そんな…頼りに、親に殺されかねないなんて!」
「畏怖した人間は、たまに信じられないことをするよ。
自分の子供相手にでも」
チェンは悲しそうに言った。
「幼児だった私達に、自力でまともな生活ができたろうか。
タオは、決して私の手は汚させず、衣服や食べ物を盗んでくる事もしばしばあった。…時には、マナの力を使ってでも。
どんな手段を使っても、私を生き延びさせ、守ってくれたの」
本当に信じられない。
あの揚々とした明るいタオが、そんな生活をチェンのために、チェンと送っていただなんて。
みほは、言葉を失った。
タオは、自分が思っているより、狡猾なまでに生きる力を兼ね備えていたのだ。
チェンが部屋で、一人特訓を行っていた。
棍棒を使い、格闘家達に教わったと思わしき武術をひたすら訓練する彼女のところに、みほがやって来た。
「ちわー。お疲れ」
「あれ?ひょっとして部屋のドア開いてた?」
手を止め、チェンはみほのほうを振り向く。
「たはは…。この神殿、広いから未だに迷っちゃってさ。
チェンは、戦いの特訓してたの?へぇー、棍棒使うんだ」
みほは、チェンの、持ち主の背丈より長い棍棒をしげしげと見詰める。
「うん!ほんとは、もっと重たい武器使えたらいいんだけど…、私力弱いから。
とりえは、方角師の素早さと身のこなしの能力くらいだよ」
「あら。チェンはもっととりえいっぱいあるわ」
「もーっ、みほったら!」
チェンは頬を赤くして照れた。
「とりえと言えばさ、ウォークマスターはどれだけ動いても疲れ知らずだし、パワーもあるから格闘家みたいに素手でも戦えるのがとりえだよね!
技術や魔力はそこそこでも、パワーはナンバーワンだもん!羨ましいな~」
「そっか…あたしって凄かったんだ…」
「も~なにしみじみしちゃってんの~」
チェンはクスクス笑った。
「私も、みほみたく強くなりたいな…。
いつかは、タオを守れるくらいに…」
「タオを?」
「うん。タオは、いっぱい私を守ってくれたもん。
私達、小さい頃から二人で生きてきたんだけど……タオは私をいつも守ってくれた。
悪になってでも」
「悪になってでも…?」
みほは、耳を疑った。
正義であるはずのマナ一族が、悪になった?
「私達、頼りを失ったの。
というより、家から逃げ出したからかな。
私達は能力にめざめてる、そしてその頼りに殺されかねないと判断したタオと一緒にね」
「そんな…頼りに、親に殺されかねないなんて!」
「畏怖した人間は、たまに信じられないことをするよ。
自分の子供相手にでも」
チェンは悲しそうに言った。
「幼児だった私達に、自力でまともな生活ができたろうか。
タオは、決して私の手は汚させず、衣服や食べ物を盗んでくる事もしばしばあった。…時には、マナの力を使ってでも。
どんな手段を使っても、私を生き延びさせ、守ってくれたの」
本当に信じられない。
あの揚々とした明るいタオが、そんな生活をチェンのために、チェンと送っていただなんて。
みほは、言葉を失った。
タオは、自分が思っているより、狡猾なまでに生きる力を兼ね備えていたのだ。