序章~We lived,and what was prohibited!~

とある日、ベルフェーゴルは本を前に難しい顔をしていた。
ページを開いたまま、眉間にシワを寄せている。
「その本、面白くないのかい?」
ルシファーが声をかけた。
「面白くないというか…。
読んでるうちに、徐々に不穏になって来てて…」
「不穏~?なによ、シリアス物?」
アスデモスが尋ねると、ベルフェーゴルは黙りこんでしまった。
「ちょっとちょっと、そんなにショッキングで過激だったってわけ?
ねえ、黙らないでよ」
突然黙りこくられた事にアスデモスは困り、優しく宥めるように言った。
「あんたってば本当にデリケートなんだから。
そんなとこが好きよ?」
「ははは、私も。
ベルフェーゴル君は感受性が豊かだなあ」
まだベルフェーゴルは黙っていた。
「フェル?」
ベルゼバブは、心配そうにベルフェーゴルを見つめている。
ベルフェーゴルは、だんまりのまま本を閉じた。
(…もう、こんな本、読みたくないっす)
すると、その心の声を残して退室してしまった。
「珍しいな。どんな本でも、一応最後まで読む彼が。
よほど嫌な内容だったんだね」
ルシファーが、友の心を案じながらいぶかしんだ。
「何よ何よ?どうしたってのよ?
大丈夫なの?どんだけ超シリアスだったっていうのよ?
それともグロかったの?バカらしすぎたの?
ドロドロ愛憎劇とか?
肌寒くなるようなホラーとか?
いや、なんでもいいけど…大丈夫なの??」
アスデモスも、非常にベルフェーゴルを案じているようだ。
目に見えてうろたえた表情をしている。
「フェル~~~~~~~~!
一体何を読んだの~?」
ベルゼバブは、あせりながらベルフェーゴルの読んでいた本を手に取った。
その本は――……、
「「「聖書?」」」
3人同時に呟いた。
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