第2章 バカげた生き方!

「マナ一族…。あんな甘えたやつら、目障りっす。
もともと、仲良くできない不完全で愚かな生き物、人間から創られた存在。
友情とか愛とか、そんなモノにバカみたいに信じてすがって生きて」
バカげた生き方、そうベルフェーゴルは付け加えた。
友情にも愛情にも、限りがある。
永遠などありはしない。
現に、ヘルデウスは恋人である女神の裏切りを受けたし、自分たちもかつては友人であったエステレラと戦うはめになった。
愛など信じれない。
……だが、本当は……。
「愛が欲しいなんて思ったら負けね。また無駄な期待をする事になっちゃう。
あんたなら、わかるわよね?フェル」
アスデモスの言葉に、ベルフェーゴルは黙ってかすかに頷いた。
敦岡玲音を殺してからというもの、人間とは仲良くできない信じてはいけない生き物だと思い知ったのだから。
「…もう人間なんか…、信じないっす」
そう呟くベルフェーゴルを、一人の幽霊が切なそうな顔で見下ろしていた。
金髪紅眼の幽霊、玲音だ。
姿を見えないようにしているため気付かれはしないが、玲音は胸が張り裂けそうでならなかった。
己の過ちのせいで、ベルフェーゴルが傷付いている。
ベルフェーゴルは、家族を全て失って寂しくて仕方なかった時、共に暮らし支えてくれた大事な親友だ。
その親友を傷付けておいて、自分はどのつらさげで声をかければいいのだろう……。
彼が答えを出すまでに、あと10年の年月をかける事となる。
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