第1章 覚醒の時、来たれり
倭区域では、みほが自宅でエディと旅立ちの用意をしていた。
バッグに何を詰め込もうか吟味するみほを手伝いながら、エディはあることに気が付いた。
この家は、静かすぎる。
「…なあ、みほ。ご家族の方は、今、お留守なん?」
「ああ、家族?父さんと母さんがいたんだけどね、少し前に死んじゃった」
みほはきわめて普通の声音で答えたが、エディは悲しそうに俯いた。
「ああっ、そんな顔しないで!
むしろ、マナ一族だってわかる前にポックリ逝って、不幸中の幸いだったのよ?
だって、バレたあと面倒くさいことになったら嫌じゃん?」
「そっか…わいは、ちょっぴり面倒くさかったかな」
エディは、小さな声で答えた。
「ほな、みほは気をつかわず旅立てるわけやね。
準備の手伝い、再開するわ」
エディは、ほんの少し、彼女が羨ましいと思った。
無論、両親の死を望んでいるわけではないが。
「うん、ありがとう!」
みほは笑顔でお礼を言った。
他人を気遣える優しさを持った、これから何十年も共に過ごす仲間に静かに救われながら。
やがて、サブナクの行った事が地獄中に知れ渡った。
3代目格闘家のチカラを暴発させ、シオミ村の人間を大量殺傷した事。
これは、大きな手柄だった。
「ちょっと本当なのぉぉぉん?!!!
サブナクが人間を殺りまくったですってええええ!!!!!!!!!?」
ルシファーの腹心たるハエ騎士団、パイモンの人一倍大きな声が室内に響いた。
ちなみに彼は薔薇やリボンで美しく着飾りメイクをしてはいても俗に言うオネェなので、声は野太い。
「あはは~そうみたい。
しかも、セール品めぐり帰りね~~。
サブサブらしいや~~」
前髪を上で括った穏やかなハエ騎士団員、フォルネウスがのほほんと言った。
「サブナクすっごい!」
巻き髪のハエ騎士団員の少女、アンドロアルフュスが笑顔で喜んでいる。
「…やり方はえげつないがな…」
陰のある長髪のハエ騎士団員、フォカロルが言った。
「そうだよ。あんな手口……陰険だよ……」
優しい面立ちのハエ騎士団員、ダンタリアンは言いながらうつむいた。
彼は、善良、寛大、善良ゆえの愚鈍を司る悪魔なのだ。
「そりゃあ僕も、マナ一族や人類は憎いけど……もっと、別のやり方があったはずだよ。
直接殺しにかかる。とか…」
「ダンってば、いいやつなのか悪いやつなのかわからない言い方~」
フォルネウスはけらけら笑った。
「それだけ、サブナクもマナ一族や人間へのうらみが深いってことよ!!!」
「うん…そうだけど」
ダンタリアンは、弱々しくパイモンの意見を肯定した。
「ね~、フォル?」
「ね~、モモ?」
パイモンとフォルネウスは、にっこり顔を見合せた。
バッグに何を詰め込もうか吟味するみほを手伝いながら、エディはあることに気が付いた。
この家は、静かすぎる。
「…なあ、みほ。ご家族の方は、今、お留守なん?」
「ああ、家族?父さんと母さんがいたんだけどね、少し前に死んじゃった」
みほはきわめて普通の声音で答えたが、エディは悲しそうに俯いた。
「ああっ、そんな顔しないで!
むしろ、マナ一族だってわかる前にポックリ逝って、不幸中の幸いだったのよ?
だって、バレたあと面倒くさいことになったら嫌じゃん?」
「そっか…わいは、ちょっぴり面倒くさかったかな」
エディは、小さな声で答えた。
「ほな、みほは気をつかわず旅立てるわけやね。
準備の手伝い、再開するわ」
エディは、ほんの少し、彼女が羨ましいと思った。
無論、両親の死を望んでいるわけではないが。
「うん、ありがとう!」
みほは笑顔でお礼を言った。
他人を気遣える優しさを持った、これから何十年も共に過ごす仲間に静かに救われながら。
やがて、サブナクの行った事が地獄中に知れ渡った。
3代目格闘家のチカラを暴発させ、シオミ村の人間を大量殺傷した事。
これは、大きな手柄だった。
「ちょっと本当なのぉぉぉん?!!!
サブナクが人間を殺りまくったですってええええ!!!!!!!!!?」
ルシファーの腹心たるハエ騎士団、パイモンの人一倍大きな声が室内に響いた。
ちなみに彼は薔薇やリボンで美しく着飾りメイクをしてはいても俗に言うオネェなので、声は野太い。
「あはは~そうみたい。
しかも、セール品めぐり帰りね~~。
サブサブらしいや~~」
前髪を上で括った穏やかなハエ騎士団員、フォルネウスがのほほんと言った。
「サブナクすっごい!」
巻き髪のハエ騎士団員の少女、アンドロアルフュスが笑顔で喜んでいる。
「…やり方はえげつないがな…」
陰のある長髪のハエ騎士団員、フォカロルが言った。
「そうだよ。あんな手口……陰険だよ……」
優しい面立ちのハエ騎士団員、ダンタリアンは言いながらうつむいた。
彼は、善良、寛大、善良ゆえの愚鈍を司る悪魔なのだ。
「そりゃあ僕も、マナ一族や人類は憎いけど……もっと、別のやり方があったはずだよ。
直接殺しにかかる。とか…」
「ダンってば、いいやつなのか悪いやつなのかわからない言い方~」
フォルネウスはけらけら笑った。
「それだけ、サブナクもマナ一族や人間へのうらみが深いってことよ!!!」
「うん…そうだけど」
ダンタリアンは、弱々しくパイモンの意見を肯定した。
「ね~、フォル?」
「ね~、モモ?」
パイモンとフォルネウスは、にっこり顔を見合せた。