第9章 迷いの心、誓いの絆

「イルカさんにお元気だしてもらう為に、僕たち今日はご飯作るの頑張ってみたんです。
気に入ってくださるといいけど……」
「メニューをオール韓流にしてみたんや。
さすがに本場の味にはかなわへんけど、口に合うとええよな」
「そっか…きっと、超喜んでくれるよ」
「あれから、コリア区域の料理は食べていないからな……。
我は、良いと思うぞ」
イルカとチョルくんが共同で作っていた、コリア区域の料理。
しかし、チョルくんが地獄に行ってからというもの作られなくなってしまったのだ。
きっとひとりでそれを作るのは、彼女に耐え難い何かがあるのだろう。
しかし、優しさと愛国心だけは失っていない彼女なら、きっと感じ取ってくれるはず。
仲間の気遣いと、思いやりの味を。
「ほな、皆ももう食べる用意始めるやろうし行こうや!」
「レッツゴーなのですよ」
「うん!」
「うむ」

一方、ヘルデウスの居城では。
早めの食事を終えた悪魔達が何やら揉めていた。
「ちょっ、さっき使ったお皿全然片付いてないんだけど?!
ほったらかしじゃない!!」
「やーんっ、当番だぁれー?!」
「私ではないぞ、お嬢さん達」
「おいらでもねえっす。
ヘルデウス様じゃねえんすか」
「いや、私でもないが………
(私、王よな…?)」
やがて騒ぎを聞きつけ、ソファーで寛いでいたチョルくんがやって来た。
「どげんしたと?ブサメンども」
「ああ、クォク・テチョルか。
誰か、当番が皿洗いをほったらかしにしておるようなのだが‥‥」
「えー。マジありえんしー。
そう言うお前じゃなかとー?」
「違う」
疑うチョルくんに、ヘルデウスは即答する。
「ちなみに、あたいでもないよ?」
「私でもないわ」
「おいらでもねえっす」
「私でもないな。
おかしいねえ‥‥。一体、誰なのだろう?」
ベルゼバブ、アスデモス、ベルフェーゴル、ルシファーが言った。
15/17ページ
スキ