第9章 迷いの心、誓いの絆
舞台が終わり、少年は外にとめた馬を探そうと路地に出た。
馬は見つかったが、もう1人先客がいた。
「キミ、超可愛いお馬さんねー。
毛並みツヤツヤー。誰が飼い主なのかな?」
先ほど舞台で生き生きと演技していた少女が、自分の馬に微笑み撫でているではないか。
少年は少女に話しかけたかったが、不器用な彼は上手い文句が浮かばなかった。
なので、いつものように振る舞う事にした。
「……そこの娘」
「!!」
威厳ある少年に、少女は目を見開き驚いて慌てて跪いた。
「も、申し訳ありません茅様!!
私ごときが、勝手に貴方様のお馬に……!
どうかお許しを!私っ…知らなかったんです!!」
「…そんなに、我は怖いか?」
「…え……?」
恐る恐る顔を上げると、少女はまたも驚いた。
先程まで威厳に満ちていた少年が、愉快そうにクツクツと笑っているのだから。
若き宰相の、初めて見る年相応の表情に、少女は胸が甘く締め付けられた。
「馬など、別に良い。
先程の雑技、見ていた。素晴らしい演技であったぞ。
…汝、名は何と申す?」
「ありがとうございます!
私、シアン……李香です!!」
「そうか。存じているようだが、我はマオだ。
シアン‥‥シアン、か‥‥。その姿と同様に、美しい名だ」
「いやですそんな、マオ様のような教養のある方に褒めてもらっちゃ私‥‥!
照れちゃうじゃないですかーっ!!」
キャー!と顔を隠し素直に喜ぶシアンに、お澄ましした貴族の姫君しか知らないマオは明るい可愛らしさを感じた。
「‥汝、学問は?」
「あっ。私、学問所には行った事がないんです…。
物心つく前から、雑技団にいたものですから」
「そうか……。では、我が学問を教えてやろう」
「えっ、そんな……!マオ様も、お忙しいでしょうし‥‥それに、私なんかの身分の者が」
「我は、汝ともっと話がしてみたいのだ」
ジッと真剣な眼差しで見つめられ、シアンは思わず吹き出した。
「‥‥如何した?」
「あははっ。いえ、失礼しました‥マオ様もそんなお顔されるんだなぁって。女の子にそんな事‥‥あはははっ!」
「我とて生きた人間だ。
たまには表情くらい変えるし、何かに関心も示す」
どこか嬉しそうに笑うシアンに、マオは若干拗ねたようだ。
馬は見つかったが、もう1人先客がいた。
「キミ、超可愛いお馬さんねー。
毛並みツヤツヤー。誰が飼い主なのかな?」
先ほど舞台で生き生きと演技していた少女が、自分の馬に微笑み撫でているではないか。
少年は少女に話しかけたかったが、不器用な彼は上手い文句が浮かばなかった。
なので、いつものように振る舞う事にした。
「……そこの娘」
「!!」
威厳ある少年に、少女は目を見開き驚いて慌てて跪いた。
「も、申し訳ありません茅様!!
私ごときが、勝手に貴方様のお馬に……!
どうかお許しを!私っ…知らなかったんです!!」
「…そんなに、我は怖いか?」
「…え……?」
恐る恐る顔を上げると、少女はまたも驚いた。
先程まで威厳に満ちていた少年が、愉快そうにクツクツと笑っているのだから。
若き宰相の、初めて見る年相応の表情に、少女は胸が甘く締め付けられた。
「馬など、別に良い。
先程の雑技、見ていた。素晴らしい演技であったぞ。
…汝、名は何と申す?」
「ありがとうございます!
私、シアン……李香です!!」
「そうか。存じているようだが、我はマオだ。
シアン‥‥シアン、か‥‥。その姿と同様に、美しい名だ」
「いやですそんな、マオ様のような教養のある方に褒めてもらっちゃ私‥‥!
照れちゃうじゃないですかーっ!!」
キャー!と顔を隠し素直に喜ぶシアンに、お澄ましした貴族の姫君しか知らないマオは明るい可愛らしさを感じた。
「‥汝、学問は?」
「あっ。私、学問所には行った事がないんです…。
物心つく前から、雑技団にいたものですから」
「そうか……。では、我が学問を教えてやろう」
「えっ、そんな……!マオ様も、お忙しいでしょうし‥‥それに、私なんかの身分の者が」
「我は、汝ともっと話がしてみたいのだ」
ジッと真剣な眼差しで見つめられ、シアンは思わず吹き出した。
「‥‥如何した?」
「あははっ。いえ、失礼しました‥マオ様もそんなお顔されるんだなぁって。女の子にそんな事‥‥あはははっ!」
「我とて生きた人間だ。
たまには表情くらい変えるし、何かに関心も示す」
どこか嬉しそうに笑うシアンに、マオは若干拗ねたようだ。