第9章 迷いの心、誓いの絆

「まあ、あゆむ。どうしましたの?」
「そんな所にいないで、こっち来いよこっち!!」
「!うっ、うん!」
感付かれていたようだ。
さすがは初代巫女と元侍。
若干慌ててあゆむは二人のもとに駆け寄る。
「ったく、立ち聞きしてやがったのか立ち聞き?
なんつー地味ハゲだ」
「ご、ごめん…」
「そのお野菜は、いかがしましたの?
地上から買ってきたのですか?」
あゆむが抱えているたくさんの野菜にマナは気付いた。
「ううん。僕の畑から収穫して来たんだ。ご飯作る時に、いつか使えるかなって。
1000年前から、僕の家にある畑なんだけど…」
「ほう。あゆむは農民だったのか農民」
「うん。まあ、そんなとこかな」
当たり障りのないように肯定しながら、あゆむは心の中で、農民て…とツッコんだ。
どうもホトは未だに、農家を農民と呼ぶ傾向があるらしい。
「1000年前から、たまに耕しに行っているんですか?」
「うん。もともと一人暮らしだったから、気を使う家族もいないしね。
ほら、見てよこのトマト!大きくない?」
大きく育ったトマトを見せ、あゆむはいつもより目をキラキラと輝かせる。
「ああ、大きいな」
「大きゅうございますね」
「…君達何かな、その“ああコイツますます地味度が増したな”的な目は。
農家って大変なんだからね」
「ははっ、悪ぃ悪ぃ」
「別に、農家さんを貶しているわけではありませんわ。
農作物を育てることは素晴らしいです。
ただ、あゆむのいめーじにピッタリと思っただけですのよ」
「どんなイメージなのか、激しく気になるけど…
――それじゃあ、ジャマしてごめんね。僕、この野菜を置いて来るよ」
「おう。行って来い」
「行ってらっしゃいませ」
あゆむがいなくなってから、二人は顔を見合せ、真顔で呟いた。
「「上手く言い表せないけど、似合<うよな/いますよね>……」」
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