第9章 迷いの心、誓いの絆
「ああ‥‥しかし、考えれば考えるほどにわからなくなる。
自分に問えば問うほどに、乱されるんだ。
だからこうして、剣(つるぎ)を振るい雑念をはらおうと…」
「そうでしたか」
マナは一度言葉を切ると、また続けた。
「私は、愛する事が間違いだとは思いません。
大切な人を想う心は、断じて甘さなどではない‥‥
それは、貴方が教えてくれた事ではありませんか」
「俺が…?」
「ええ。
貴方は、和歌も詠めぬ力もない私を将来お嫁にするとおっしゃって下さいました」
公家に生まれた者は、必ず和歌を詠まねばならない。
そんな環境に生まれながら和歌の苦手なマナは、公家の男達から見放されていた。
しかし、ホトだけは違っていた。
ただひとり彼女の本質を見抜いていたのは、生まれも育ちも全く違う少年。
武家と公家だなど関係ない。
二人の間には、今も確かな愛があるのだ。
「あの旅立ちの日に、誓ったではありませんか。
何があろうとも、私は永遠に貴方に添い遂げると。
貴方が迷われたら、共に答えを探しだす。
そして、必ずやたどり着いてみせる。
これは決して、弱さなどでありません。
……貴方に巡り会えて、ようございました」
「ああ。そうだな、マナ……お前は、強い。
強い女だ」
そう言ったホトの顔は、今までとはまるで別人のように穏やかに落ち着いていた。
「やはりお前だけが、俺の真実だ。
これより後に何があろうと、この一身をかけ全ての厄からお前を守ろう。
愛しているぜ。マナ」
「ホト‥‥」
甘~い雰囲気を醸し出す二人に、戸惑う者が約1名いた。
神殿の壁の裏に、隠れているあゆむだった。
都合のいい壁の裏で、野菜を抱えながらあゆむは赤面しつつ考える。
(ど……どうしよう…。今行ったら、ジャマなんじゃあ…。
かといって、ずっとこうしてるわけにもいくまいし‥‥ああでも、やっぱ空気は読むべきだよね……)
自分に問えば問うほどに、乱されるんだ。
だからこうして、剣(つるぎ)を振るい雑念をはらおうと…」
「そうでしたか」
マナは一度言葉を切ると、また続けた。
「私は、愛する事が間違いだとは思いません。
大切な人を想う心は、断じて甘さなどではない‥‥
それは、貴方が教えてくれた事ではありませんか」
「俺が…?」
「ええ。
貴方は、和歌も詠めぬ力もない私を将来お嫁にするとおっしゃって下さいました」
公家に生まれた者は、必ず和歌を詠まねばならない。
そんな環境に生まれながら和歌の苦手なマナは、公家の男達から見放されていた。
しかし、ホトだけは違っていた。
ただひとり彼女の本質を見抜いていたのは、生まれも育ちも全く違う少年。
武家と公家だなど関係ない。
二人の間には、今も確かな愛があるのだ。
「あの旅立ちの日に、誓ったではありませんか。
何があろうとも、私は永遠に貴方に添い遂げると。
貴方が迷われたら、共に答えを探しだす。
そして、必ずやたどり着いてみせる。
これは決して、弱さなどでありません。
……貴方に巡り会えて、ようございました」
「ああ。そうだな、マナ……お前は、強い。
強い女だ」
そう言ったホトの顔は、今までとはまるで別人のように穏やかに落ち着いていた。
「やはりお前だけが、俺の真実だ。
これより後に何があろうと、この一身をかけ全ての厄からお前を守ろう。
愛しているぜ。マナ」
「ホト‥‥」
甘~い雰囲気を醸し出す二人に、戸惑う者が約1名いた。
神殿の壁の裏に、隠れているあゆむだった。
都合のいい壁の裏で、野菜を抱えながらあゆむは赤面しつつ考える。
(ど……どうしよう…。今行ったら、ジャマなんじゃあ…。
かといって、ずっとこうしてるわけにもいくまいし‥‥ああでも、やっぱ空気は読むべきだよね……)