第8章 "甘さ"の犠牲

その夜の地獄。
城の真っ暗い部屋の中、チョルくんは四天王と対峙していた。
「…本当に、いいわけ?こんな選択して」
「後悔しないの?地獄に住みたがる人間なんて、聞いたことないよ?」
「後悔なんかせん」
彼は、真っ直ぐに四天王を見据えている。
「では結局、私達の言いなりになる訳かい?」
ルシファーの言葉に、チョルくんは静かに首を横に振った。
「チョルくんは、お前らの誰の言いなりにもならん。
大切な人の為、ここにおるだけだし。
それ以外、誰の為でもなか。
…ただ……」
そこまで言うと、チョルくんは目を伏せ自嘲するような笑みを見せた。
「こげな形でも、必要とされる事が嬉しいんが皮肉だし…。
チョルくん、なんなんやろう」
「……人間て、複雑なんすねぇ。めんどくさい生き物なんだの」
「…随分薄情やね。心のレパートリーでん限られとうとか」
「おいら、悪魔だから」
その独特の憂鬱な声は、感情を読み取る事は不可能だった。
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