第8章 "甘さ"の犠牲
『仕方ありません…彼の想いを汲み、ヘルデウスの条件を呑みましょう。
イルカさえ大丈夫であれば…イルカ。よろしいですか?』
「…はい…これが、チョルくんの意志ならば……」
――――“では、取り引き成立だな。
人質の身の安全と、地上の平和は約束しよう。
そちらも、ゆめゆめ忘れぬように…さらばだ”
テレパシーは途絶え、聖域に静けさが戻った。
「…ボク。こんなに悔しいの、久々かもしれない」
アダムは、目を伏せたイルカを見上げた。
「どんな手を使ってでも、チョルくんを助けたかったよ……。
極力、犠牲者なんて出したくなかったんだ。
彼の強い意思さえなければ…だけど…」
「…よろしいのよ。わたくしの教育は、間違ってはいませんでしたわ」
イルカは無表情だが、言葉に力が感じられる。
「あの子を信じて、いつか再会する日を待つ事にしましょう。
あの子は、強い子ですもの。お聞きになられたでしょ?」
「…イルカ…」
この場で一番、辛いハズなのに。
自分達もしっかりせねばと、みほは思った。
「…せやな…。離れとる間に、もっと強なって、友達ひとりくらい守れるようにならな」
「…そうだね。身も心も、強くならなきゃ。
もう二度と、利用されないように」
言いながらもチェンは、不安の陰を宿した。
(でも、悪魔達の言う“弱点”だけはどうしたらいいの……?
愛や友情を捨てるなんて、私には出来ない……。
例え甘さと言われても、私には…)
『…今日は、もう皆さん休んで下さい。
私もエステレラも、今後をどうするか考えます。皆さんも、まずは自分を落ち着けて下さい…』
「…結果が出たら、皆をここに召喚するから。
それまでは、無理せず休んで」
「「「「……………」」」」
イルカさえ大丈夫であれば…イルカ。よろしいですか?』
「…はい…これが、チョルくんの意志ならば……」
――――“では、取り引き成立だな。
人質の身の安全と、地上の平和は約束しよう。
そちらも、ゆめゆめ忘れぬように…さらばだ”
テレパシーは途絶え、聖域に静けさが戻った。
「…ボク。こんなに悔しいの、久々かもしれない」
アダムは、目を伏せたイルカを見上げた。
「どんな手を使ってでも、チョルくんを助けたかったよ……。
極力、犠牲者なんて出したくなかったんだ。
彼の強い意思さえなければ…だけど…」
「…よろしいのよ。わたくしの教育は、間違ってはいませんでしたわ」
イルカは無表情だが、言葉に力が感じられる。
「あの子を信じて、いつか再会する日を待つ事にしましょう。
あの子は、強い子ですもの。お聞きになられたでしょ?」
「…イルカ…」
この場で一番、辛いハズなのに。
自分達もしっかりせねばと、みほは思った。
「…せやな…。離れとる間に、もっと強なって、友達ひとりくらい守れるようにならな」
「…そうだね。身も心も、強くならなきゃ。
もう二度と、利用されないように」
言いながらもチェンは、不安の陰を宿した。
(でも、悪魔達の言う“弱点”だけはどうしたらいいの……?
愛や友情を捨てるなんて、私には出来ない……。
例え甘さと言われても、私には…)
『…今日は、もう皆さん休んで下さい。
私もエステレラも、今後をどうするか考えます。皆さんも、まずは自分を落ち着けて下さい…』
「…結果が出たら、皆をここに召喚するから。
それまでは、無理せず休んで」
「「「「……………」」」」