第8章 "甘さ"の犠牲

――――“チョルくんは、地獄に残るし…。
そしたら地上からモンスターのいなくなるけん…。ちょっこしだけ平和になるし。
やけん皆、チョルくんば助けにも来んといてつかあさい”
「なっ‥‥何を言ってますの?!
チョルくん、わたくしと帰りましょう!!
悪魔の言う事など聞く必要ありませんわ!他にいくらでも手はあります!!」
――――“ヌナ……チョルくん、ヌナに出会って、たくさん助けられました。
ヌナが拾って下さらなかったら、今もずっと自分は要らん人間やと思ぉとったと思います。
貴女と、貴女の大切な人達のお役に立ちたいんです。わかってつかあさい”
「……ッ……」
「戯れ言など聞きたくない!!子供が無理をするもんじゃねえぞ無理を!!」
「ホト‥‥!!」
珍しく取り乱すホトを、マナが諌めようとする。
「俺がお前ぐらいの頃だったら……、悪魔全員斬り捨ててでも家族んとこ選ぶぞ!!
お前は暗がりで育ちてえのか暗がりで?!
イルカのもとに帰れよ!!早く!!」
こんなにも激怒したホトを見たのは、彼の幼なじみのマナでさえ初めてだった。
しかしチョルくんは、意思を変える事はなかった。
――――“わかってほしか。チョルくん、お前らの守る世界ん役にも立ちたいんだし。
調子こいて勝手にお前らんこと友達やっち思ぉとったけん‥”
「…チョルくんは友情に篤いんだね。どうか、チカラ及ばない友を許して。
マナの女神……いかが致しましょう?」
エステレラは、悲しみの表情を浮かべマナの女神に訊ねる。
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