第8章 "甘さ"の犠牲

「…とは言ってもねえ…」
此処は天上界と地獄の境目。
そこで、アスデモスは溜め息をついた。
「マナ一族が、全員神殿からいなくなるような事なんてあるのかしら?
留守にするにしても、必ず誰かはいるでしょうし」
「ねー。アニーお姉様。
あの子達も、そこまでおばかじゃないだろうしね」
ベルゼバブも、チーズをかじりながら困り顔をした。
「まったくヘルデウス様ってば、ちゃんとそこらへんも計算してからおいら達に命じたわけ?
めんどくさい……」
「まあまあお嬢さん達、そんなに深刻にならないで。
奇跡を信じようではないか」
「ちょっとフェル、ファル!!あんた達やる気あるの?!」
マイペースなベルフェーゴルとルシファーに、アスデモスが怒鳴った。
「勘違いしないで欲しいな、アスデモス嬢。
これは確かに難しい任務だが、何千年もの昔から四天王として組んできた私達4人のチカラならなんとかなると言いたかったのさ。
私の隣の彼、ベルフェーゴル君にやる気があるかどうかは知らないがね」
「おいら?おいらは別に、難しいこと考えるのがめんどくさいだけっす。
任務自体は、ちゃんとやるけど…。あ~だる」
「うん、確かにファルもフェルも昔からこんな子達だったよね」
「ええ、言うだけムダだったわね…」
はは、とアスデモスは薄笑いを浮かべる。
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