第7章 愛する理由

「…というわけで、遅くなってしまったのである。申し訳ない」
初代達が食材調達から帰り、マナの一族皆で食卓を囲んでいる。
突然サタンが現れ買い物が遅れた旨を述べ、イリスェントは謝罪した。
料理を食べていた手を止め、皆一様にしょんぼりした顔付きになる。
「ボクは、なんて鈍感なんだ。
イリスェントがひとりで戦っている間にも、ボクはただこの神殿で待っていただけだなんて……。子孫失格だ」
「別に気にする事ないのである。
あのような薄すぎる遥か遠くの気配、シアンでなければ、気付けなかったのであろう。
我が輩だって、神殿から離れるまで気が付かなかったであるからな」
「わーん、こんな時だけ優しくしないでよーっ!いつもみたいに軍隊の迫力で叱ってよーっ!!
イリスェント反則じゃないかー!!」
しまいにはわんわん泣き出したアダムを、よしよしとイリスェントは穏やかに宥める。
「本当にごめんなさい。あたし達も、シアンのように気付けたら‥‥」
みほがシュンと口にした。
「そんなに気に病むな、皆の衆。
俺達初代だって、シアンに知らされなければ駆け付ける事は出来なかったんだ。
今さら、別にいいんだ別に」
再び箸を動かしながら、ホトが子孫達を励ます。
そんな彼の言動にだいぶ慰められたのか、ほとんどの子供達がそれぞれ躊躇いながらも箸を動かし始めた。
「――別にようなかよっ!!」
チョルくんが大声で叫ぶと、皆驚いて一斉に彼の方を向いた。
彼の小さな肩は、悔しさからか小刻みに震えている。
「サタンは、おったとやろ?!気付けんかったとやろ?!
お前らマナ一族のくせに、なしてそげん暢気に構えとーとっ!!」
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