第6章 自分の身を守るものは…

それから数ヶ月、倭区域の伝来ハカセのもとで心身の療養生活を送った。
毎日清潔な包帯に取り替えてもらい、温かいスープを差し出される。
笑顔で接してくれる相手がいる。
怒鳴り声も銃声も聞こえない。
殴られる事も、戦わされ傷を負う事もなく。
血の臭いにむせ返る事もない。
そんな当たり前に、戸惑いを感じた。
やがて傷も癒えた頃四人の“初代”の子供達が伝来ハカセのもとを訪れ、マナの一族として世界を見守りながら生きる事となった。
優しい仲間達に、支えられながら―――‥‥‥。
自分を必要としてくれる人達がいる。
なら自分は、そんな人達のいる世界の為に生きよう。
だからこそ、悪魔なんかに、負けはしない!

やがて引き金が、カチカチと小さな音のみを立てる。
アサルトライフルからは、もう銃弾は出ない。
(!弾切れ…!?)
「ケケケ、だいぶてこずらされたがもうおしまいだな」
「覚悟しろよ?」
サタンの1人が漆黒の槍を振りかぶり、イリスェント向かい襲い来る。
イリスェントは、反射的にぎゅっと目を閉じた。
その時。
「――ハァッ!!!」
「ぐっ?!」
なんとマオが現れ、サタンの腕を蹴り上げ槍を遠くに飛ばした。
「――マオ……?!」
「超よかった。なんとか間に合ったね!」
言いながら、シアンが華麗な動作で中国刀で宙に舞う漆黒の槍を切り刻みバラバラにする。
「クッ……!野郎!!」
「おっと。それ以上は、させねぇぜ?」
マオやシアン、イリスェントに襲い掛かろうとしたサタン達に、ホトが音もなく刀を突き付ける。
「1人相手に大群でなきゃ、戦もできねえとはな。
…相変わらず無粋な奴らだ」
ホトの持つ武士の気迫に、サタン達は怯み身動きが取れなくなってしまう。
「…貴方達、許しません。
……罰を、受けて頂きます」
静かに敵に告げマナは片手を前に出した。
その手から放たれた雷に、サタン達は悲鳴をあげる間もなく呑み込まれ掻き消されてしまった。
嫌な予感がしたシアンが他の初代達を集め、4人でイリスェントを助けに来たのだ。
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