第6章 自分の身を守るものは…
イリスェントはもしかしたら味方がいやしないかと後方を見るが、当然誰もいない。
(…我が輩も、甘くなったものである。
誰か、助けに来てくれはしないかだなど)
――…自分の身を守るものは……、自分しかいない!!
「我が輩を見くびるな!無論、神殿の仲間にも、手出しはさせぬ!!」
眼に冷たい炎を宿しイリスェントは、小さな身体に大きなアサルトライフルを構えた。
「ここから先は…っ!!通しはしないのである――――ッ!!!」
天上界と地上を結ぶ空に、幾つもの銃声が轟いた。
大多数のサタンを相手にしながら、イリスェントは遠い昔に今を重ね合わせていた。
独りで戦う事しか出来なかった、過去の自分と。
戦う事しか知らなかった、自分と。
だからこそ、戦闘になるとこんなにも機械的で冷たい目になる―――‥‥‥‥。
そうだ。自分は、幼い頃貧困の末両親に捨てられ、生きる為に軍に入隊したのだ。
傭兵になる事に、戦争で人を殺す事に最初は抵抗を感じたが、次第に生きたいという本能のほうが先立った。
段々冷たくなる自分が嫌い。
自分を置き去りにした両親が嫌い。
憂さ晴らしに殴って来る上官が嫌い。
子供だからと馬鹿にしてかかる敵兵が嫌い。
負傷の痛みが嫌い。
血の臭いが嫌い。
空腹が嫌い。
孤独感が嫌い。
人が嫌い。
何もかも、嫌いだった………。
荒んだ日々のなか、自分がマナ一族だと知ったのは、とある戦争の最中だった。
戦場で大怪我を負い倒れていたところを伝来ハカセに助けられ、その時にマナ一族の存在を知ったのだ。
『……なぜ、我が輩などを助けるのであるか。
敵前逃亡は、極刑なのである』
『極刑になる前に、君今にも死にそうだったじゃないか。
助けたのは、君が、この世界に必要な人だからだよ。
君は、選ばれし者なんだから。こんなところで命を落としちゃダメだ』
『…我が輩のような、殺人鬼が……。必要だと……?
貴様、どうかしてる…』
『僕のほかにも、君を必要とする人がいずれこの研究所に訪れるよ。
僕は伝来ハカセ。とりあえず、ケガが治るまで安静にしててね』
(…我が輩も、甘くなったものである。
誰か、助けに来てくれはしないかだなど)
――…自分の身を守るものは……、自分しかいない!!
「我が輩を見くびるな!無論、神殿の仲間にも、手出しはさせぬ!!」
眼に冷たい炎を宿しイリスェントは、小さな身体に大きなアサルトライフルを構えた。
「ここから先は…っ!!通しはしないのである――――ッ!!!」
天上界と地上を結ぶ空に、幾つもの銃声が轟いた。
大多数のサタンを相手にしながら、イリスェントは遠い昔に今を重ね合わせていた。
独りで戦う事しか出来なかった、過去の自分と。
戦う事しか知らなかった、自分と。
だからこそ、戦闘になるとこんなにも機械的で冷たい目になる―――‥‥‥‥。
そうだ。自分は、幼い頃貧困の末両親に捨てられ、生きる為に軍に入隊したのだ。
傭兵になる事に、戦争で人を殺す事に最初は抵抗を感じたが、次第に生きたいという本能のほうが先立った。
段々冷たくなる自分が嫌い。
自分を置き去りにした両親が嫌い。
憂さ晴らしに殴って来る上官が嫌い。
子供だからと馬鹿にしてかかる敵兵が嫌い。
負傷の痛みが嫌い。
血の臭いが嫌い。
空腹が嫌い。
孤独感が嫌い。
人が嫌い。
何もかも、嫌いだった………。
荒んだ日々のなか、自分がマナ一族だと知ったのは、とある戦争の最中だった。
戦場で大怪我を負い倒れていたところを伝来ハカセに助けられ、その時にマナ一族の存在を知ったのだ。
『……なぜ、我が輩などを助けるのであるか。
敵前逃亡は、極刑なのである』
『極刑になる前に、君今にも死にそうだったじゃないか。
助けたのは、君が、この世界に必要な人だからだよ。
君は、選ばれし者なんだから。こんなところで命を落としちゃダメだ』
『…我が輩のような、殺人鬼が……。必要だと……?
貴様、どうかしてる…』
『僕のほかにも、君を必要とする人がいずれこの研究所に訪れるよ。
僕は伝来ハカセ。とりあえず、ケガが治るまで安静にしててね』