第5章 予期せぬ危機、予期せぬ出逢い

3代目のマナの一族が天上界の神殿に連れられてきてから、1ヶ月。
5人は先祖のもとで修行を積み、マナの能力を鍛えるとともにようやく天上界の暮らしにも慣れてきたようだ。
「ふー。やっとこさ空中に浮けるようになって、一息ついたわ」
「おめでとう、みほ!
空中移動できないと、地上に降り立つ手段が狭まるからね…君もエディもイルカもコルちゃんもミンウ君も、できるようになってくれて良かったよ」
「まぁ俺も最初は苦労したしな苦労。ほめてつかわすぜみほ」
あゆむ、ホトがみほに労いの言葉をかける。
「あはは、ホト何その時代劇口調!ほめてつかわすって」
「ああ、たまに出ちゃうらしいんだ。ホトは、元サムライだから」
「刀握らせたら強いぜ刀。
ちなみに幼名は“竹千代”ってんだ。
んで本名は“世歩大和晃歩人(せほ・やまとのあきら・ほと)”。こー見えてちゃんと元服してんだぞ元服」
「そ、そっかぁ…お侍だったのね…。全く気付かなかった…」
能ある鷹は爪を隠すというが、これは上手い隠し方だなぁとみほは思った。
「だって、ホト…現代っ子にしか見えないんだもん」
「はは。まぁ新しいもんとか横文字の料理とか好きだしな。すっかり仲間に影響されちまったっつーか……旅立つ前は、和服着て刀ぶんぶんやってたぜ刀」
「「刀ぶんぶん‥‥」」
ホトの武士道精神の感じられない軽口に、あゆむとみほは苦笑いを誘われた。
「じゃあ、あゆむもお侍さんだったりするの?」
「ううん、僕は一般人。けっこうのんきに暮らしてたよ、旅立つ前は……。
そうだ、今、格闘家達が修行してるんだよね。ちょっと見に行かない?」
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