第4章 後悔なき道

「はい…。
誓ってエディオニールは、今後生き方を曲げません。
今まで、ありがとうございました」
悲しさをこらえはっきりとした声で言うと、エディオニールは席を立った。
「Adieu….」
荷物をまとめ伝来ハカセとの約束通り中庭に行くと、確かに彼はそこにいた。
7年前の、言葉どおりに。
「はは…私、勘当されてしまいましたよ。もう‥。後戻りは、できないな」
「みたいだね。でも、いい顔してるよ」
「おや。“みたいだね”とは、まるで勘当シーンを見ていたかのようなクチぶりですな」
「心の眼で見てた☆」
「??はぁ…」
目の前でニコニコしている少年に、そんなチカラがあるとでもいうのだろうか。
それに、7年も経ったというのに、全く姿形が変わっていないというのもおかしい。
(つくづく不思議というか‥‥、タダ者ではなさそうな方だよな…)
「では、参りましょう。ムッシュー」
「ムッシュー、じゃなくて、伝来ハカセ♪ハカセって呼んで♪」
「は、ハカ、セ……?」
「そうそう、グーッド☆
僕も、エディって呼んでもいいかな?エディオニールって長くって」
「エディ、か…。うん、悪くありませんね!気に入りました!ニックネームは、初めてなんです」
「あははっ。じゃあ、行こっか」

倭区域に向かう道すがら、二人はいろいろなコトを話した。
現在これから、伝来ハカセの研究所をめざしているコト。
マナ一族としての知識。
エディの、家族への想いと精霊としての使命感。
「これまでどんなにつらくともずっと頑張ってきたのは、両親に愛して欲しかったからだと思うのです…例え甘えを許されず厳格に振る舞われても、大切な家族でしたゆえ」
「そっか…やっぱり、君も大人びていても子どもなんだね」
「はは…………」
エディは自分に苦笑した。
「しかし、今後はマナ一族として励むつもりです!
暫らくの二人暮し、よろしくお願いしますね?ハカセ」
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