第4章 後悔なき道

「しかし、ご無礼ですが…、ムッシュー。
僕には、倭区域に血縁者や知り合いもございませんし……我が家は倭区域と関係すらありません。
一体、貴方のような方がなんのご用なのか見当がつかないのですが……」
「うーん。正式に言うと、“倭区域の使者”としてでなく、“マナの使者”として用があって来たんだよね。
新たなるマナ一族に、…ね」
「マナ……?!!」
伝説で、聞いた事がある。
この世界のあらゆる均衡を保つ目に見えぬ不思議なチカラ、“マナ”。
それを司る千年に一度創りだされるといわれる精霊達、“マナ一族”。
まさか、その精霊が自分だとでもいうのだろうか。
「そっ…そんなわけがありません!!僕は、ただの人間です!」
「じゃあ聞くよ。
君は以前、見知らぬはずの道を何度も通ったかのように記憶していたり、自分に襲い掛かる衝撃がどの方角からやって来るかおのずと理解できたコトはなかったかい?」
「…そういえば………」
そうか。
自分の異常なまでの勘の良さは……。
「…“方角師”……」
「そう!君は選ばれし者なんだよ。方角師、にね」
「信じ、られない……」
「まあ確かに、いきなり言われてもピンとこないだろうね。
マナの一族は、最初は人間から誕生するから。徐々に精霊として目醒めていくわけだ」
「…では……。僕は……。
僕は、どうしたら……」
「それは、君次第だ。
このまま退屈な人間として死んだように生きるか、マナの一族として仲間達と世界を見守り輝きながら生きるか。
妥協するか輝くかは、君次第さ」
「妥協するか…輝くか……」
エディオニールは、決意した。
これまでの自分から、生まれ変わるコトを。
「僕は、輝きたい……!
輝きながら、生きたい!
僕は……僕は、マナ一族として、何をしたら良いのですか…っ!?ムッシュー!」
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