エピローグ~新たなる世界~
「メタラオン様~、って呼ぶの、なんか違和感あるもんねぇ。
あたいなんか、いまだにヘルデウス様って呼んで怒られちゃう」
「それは直せちゃ」
ザフキエルにツッコまれ、えへっとケムエルはちょっと舌を出す。
「そういえば、そのヘルデウス様もといメタラオン様は、今何してるのかしら?」
ヘルデウスもといメタラオンは、
「ふぅ……」
聖域でくたびれていた。
「何やってんの?天使になってまで」
「天使だからこそだ、エステレラ……。
地上を見守るというのは、大変な仕事なのだな…」
『ウフフ…。私やエステレラやマナ一族達の苦労がわかりましたか?』
「ああ、今ならば尊敬してやっても良い……」
ほんわかとした笑顔を浮かべる恋人に、メタラオンはお疲れの表情で答えた。
「おまけに、当番とか修行もしてたよね?確か。
マナ一族達には、苦労かけたよ……。
1日の当番忘れくらい、おおめに見るべきだったかなぁ…」
『涛などは、しょっちゅう忘れて1週間ずっとひとりで掃除洗濯料理の類いをさせられていましたものね?
確かに少々、厳しかったかもしれません』
「ええ、今思えば…。
でも、忘れるほうも悪いですよ!
ちゃんと当番表チェックしてるのにド忘れするなんて、脳みそツルツルなんじゃないの?タオって」
『まあ。いくら涛の脳みそとはいえど、一本や二本くらいはシワがあったはずですよ』
「えー?あやしーい」
目の前で繰り広げられるブラックな会話に、メタラオンは顔に縦筋を入れる。
本当にこの二人は、女神と天使なのだろうか。
「タオ……。タオかぁ。
元マナ一族達、今度はどんな子になるんだろう…。
ねえ女神様、また地上に研究所建てちゃダメですか?」
『もちろん、かまいませんよ。
皆が気になるのね。
なんなら、各区域に建てちゃってかまいませんよ?』
「やった♪ありがとうございます、女神様!」
「また、“マナ”を研究する小さな博士として地上に降りるのか?
君も、変わらぬな」
「来世でまでくたびれてるおじさんに言われたくないよ」
エステレラは、メタラオンにイーッと反撃すると、一言付け加えた。
「だってもう、初代の皆が生まれそうなんだから」
それから数年後。
「ハカセー!遊びに来たのである!!」
アムール区域にあるマナの研究所に、小さな少年がやって来た。
ふわふわとした赤毛と同色の瞳、それによく似合う大きな帽子とマントが特徴的な男の子だ。
――そう。生まれ変わった、イリスェントである。
「いらっしゃい!もう学校は終わったのかい?」
「うん!上がっても良いであるか?」
「もちろん♪どうぞどうぞ♪」
ハカセは、ニコニコとイリスェントを室内まで通す。
「適当に掛けていいよ。僕ジュースでも持ってくるから」
「うん。ありがとうなのである」
ちょこんとソファーに腰掛けたイリスェントに、ハカセはジュースを手渡し隣に座った。
「今日、学校で将来何になりたいかという話になったのである。
でも、我が輩まだよくわからなくて……。
ハカセは、どうして研究家になろうと思ったのであるか?」
「僕?僕は…」
自分が、こうしてたまに地上に降りている理由は―――‥‥。
「研究を続ける事で、大切な人達の側にいれるからかな。
その為なら、何十年でも、何百年でも続けたい」
「あはは!何百年はムリなのである!
寿命が尽きるであるよ?」
前世を忘れた彼は、愉快そうに笑っている。
ハカセを、完全に人間と思い込み、自分も最初から人間であると思い込んでいるのだ。
今の彼は、銃弾の込め方も知らない。戦いのノウハウも。
目の前の友人の、正体も。
だが、それでもいい。
幸せなら、それでいい。
いちからの再スタートでも、友達にはなれる。
幸せな笑顔を、見ることはできる。
「そうだ。後で、聖書のお話聞かせてくれないか?
ミカエルとかザフキエルとか出てくる面白いお話である!」
「うん、いーよ!」
これでいい。だって、この自然と楽しい明日を待てる幸せが、大事なのだから。
あたいなんか、いまだにヘルデウス様って呼んで怒られちゃう」
「それは直せちゃ」
ザフキエルにツッコまれ、えへっとケムエルはちょっと舌を出す。
「そういえば、そのヘルデウス様もといメタラオン様は、今何してるのかしら?」
ヘルデウスもといメタラオンは、
「ふぅ……」
聖域でくたびれていた。
「何やってんの?天使になってまで」
「天使だからこそだ、エステレラ……。
地上を見守るというのは、大変な仕事なのだな…」
『ウフフ…。私やエステレラやマナ一族達の苦労がわかりましたか?』
「ああ、今ならば尊敬してやっても良い……」
ほんわかとした笑顔を浮かべる恋人に、メタラオンはお疲れの表情で答えた。
「おまけに、当番とか修行もしてたよね?確か。
マナ一族達には、苦労かけたよ……。
1日の当番忘れくらい、おおめに見るべきだったかなぁ…」
『涛などは、しょっちゅう忘れて1週間ずっとひとりで掃除洗濯料理の類いをさせられていましたものね?
確かに少々、厳しかったかもしれません』
「ええ、今思えば…。
でも、忘れるほうも悪いですよ!
ちゃんと当番表チェックしてるのにド忘れするなんて、脳みそツルツルなんじゃないの?タオって」
『まあ。いくら涛の脳みそとはいえど、一本や二本くらいはシワがあったはずですよ』
「えー?あやしーい」
目の前で繰り広げられるブラックな会話に、メタラオンは顔に縦筋を入れる。
本当にこの二人は、女神と天使なのだろうか。
「タオ……。タオかぁ。
元マナ一族達、今度はどんな子になるんだろう…。
ねえ女神様、また地上に研究所建てちゃダメですか?」
『もちろん、かまいませんよ。
皆が気になるのね。
なんなら、各区域に建てちゃってかまいませんよ?』
「やった♪ありがとうございます、女神様!」
「また、“マナ”を研究する小さな博士として地上に降りるのか?
君も、変わらぬな」
「来世でまでくたびれてるおじさんに言われたくないよ」
エステレラは、メタラオンにイーッと反撃すると、一言付け加えた。
「だってもう、初代の皆が生まれそうなんだから」
それから数年後。
「ハカセー!遊びに来たのである!!」
アムール区域にあるマナの研究所に、小さな少年がやって来た。
ふわふわとした赤毛と同色の瞳、それによく似合う大きな帽子とマントが特徴的な男の子だ。
――そう。生まれ変わった、イリスェントである。
「いらっしゃい!もう学校は終わったのかい?」
「うん!上がっても良いであるか?」
「もちろん♪どうぞどうぞ♪」
ハカセは、ニコニコとイリスェントを室内まで通す。
「適当に掛けていいよ。僕ジュースでも持ってくるから」
「うん。ありがとうなのである」
ちょこんとソファーに腰掛けたイリスェントに、ハカセはジュースを手渡し隣に座った。
「今日、学校で将来何になりたいかという話になったのである。
でも、我が輩まだよくわからなくて……。
ハカセは、どうして研究家になろうと思ったのであるか?」
「僕?僕は…」
自分が、こうしてたまに地上に降りている理由は―――‥‥。
「研究を続ける事で、大切な人達の側にいれるからかな。
その為なら、何十年でも、何百年でも続けたい」
「あはは!何百年はムリなのである!
寿命が尽きるであるよ?」
前世を忘れた彼は、愉快そうに笑っている。
ハカセを、完全に人間と思い込み、自分も最初から人間であると思い込んでいるのだ。
今の彼は、銃弾の込め方も知らない。戦いのノウハウも。
目の前の友人の、正体も。
だが、それでもいい。
幸せなら、それでいい。
いちからの再スタートでも、友達にはなれる。
幸せな笑顔を、見ることはできる。
「そうだ。後で、聖書のお話聞かせてくれないか?
ミカエルとかザフキエルとか出てくる面白いお話である!」
「うん、いーよ!」
これでいい。だって、この自然と楽しい明日を待てる幸せが、大事なのだから。