第17章 幸せをありがとう

コリア区域の青空の下。
黒髪の青年がひとり、佇んでいた。
彼は、どこまでも蒼く澄み渡る大空を見上げて微笑む。
懐かしい何かを探すように、優しく目を細めて。
「何もかもなくしちゃったし……でも、満足しとる」
青年は天空に――今はもう見えぬ大切な者達に語りかけると、前を向いて歩き出した。
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