第17章 幸せをありがとう
「来世も同じ人生‥‥、なんだよな?」
「ええ」
「だが幸せな人生‥‥。なんだよな?」
「ホトってば、先程から質問ばかりですね」
マナは、クスクスと微笑んだ。
そんないつもの彼女にホトは、隣の彼女はやはり強い女性だと感じた。
再び彼は、口を開く。
「また……、一緒になれるだろうか?」
「ええ…。きっと」
マナは、彼の手を握り穏やかに肯定した。
彼の手は大きく、それでいて温かい頼もしさを感じる。
「また同じ人生を歩む事がわかっているとしても……、私は貴方と一緒になりとう存じます」
「…マナ…」
ホトは心に決めた。
彼女と、また巡り会う事を。
「…ああ、マナ。今度こそ、なろうぜ」
彼女の手を握り返し、ホトは微笑んだ。
彼女の温もりを、今精一杯愛おしむ。
「まことの夫婦(めおと)に」
「なあ、チェン!次の人生ではさ!
学校とかにも通えんじゃね!?」
「うん!!」
「父ちゃんとも母ちゃんとも暮らせんじゃね!?」
「うん!!」
「また一緒に近所同士で遊びまくれんじゃね!?」
「うん!!」
「母語だけで会話できんじゃね!?」
「うん!!」
「あたりまえに当番とかしなくていんじゃね!?
そんでもう、1日や2日や3日忘れてSテレラにどやされて1週間ひとりでやらされるーとかもないんじゃね!?」
「うん!!」
「やりたい事やれまくりなんじゃね!?」
「うん!!」
来世への夢を描き、はしゃぐタオとチェン。
だが軈て、勢いも消沈していく。
「…はぁ――――…別れたくねー…みんなとバラバラだー…」
「そうだねー…もうマオとタオの突っつきあう姿が見れないなんて寂しいよ…」
「…ふ、ふんっ!もうバカバカ言われなくてせいせいすらぁ!」
プイとそっぽを向き、タオは強がってみせる。
「…ねぇ、タオ」
「なんだよ!」
「お願いがあるの。来世でも、どうかいつも笑っていて。
私も、笑うから」
「……!」
にっこり笑んでみせるチェンに、タオも満面の笑顔を咲かせた。
「おうっ!!ずーっとずーっとだ!!
チェンがいてくれるなら!」
「マオくん大丈夫?」
シアンが、ソファーで難しい顔をしているマオを気遣う。
隣に腰掛け、心配そうに見つめた。
「ずっと超浮かない顔してるよ?
当たり前かもだけど……。
またおんなじ時代、おんなじだけど良い人生を歩めるのよ?
大丈夫だよ、ボク達。絶対幸せになれるわ」
「……」
マオは、切ない表情でシアンを抱き寄せる。
「まっ、マオくん‥‥?」
体と体が密着し、彼の体温にシアンの胸がドキドキと高鳴る。
「シアン‥‥。我は‥‥。
どのような形でも良い。汝とまた出会いたい……」
「……」
「だが、その願いが叶った時にはもう、皆はいない……。
初代の皆は、我の事を忘れる。2代目と3代目の者は当然生まれてすらおらず……。
……こんな苦しさを感じれるほど、我は人間らしくなっていたのだな……」
初めての恋人。初めての友達。
学問だけを、おべっか使いの貴族だけを、言い寄ってくる女だけを、政だけを相手にし、冷たい世界で生きていた自分にとって、彼女や仲間達がどれ程の価値ある存在であったことだろう。
恋心や友情を知り、たくさんの感情を知った。
誰かの為に戦い、悪い現実を良くしようと協力しあえる大切さを知った。
気のおけない者と笑いあえる嬉しさを知った。
その全てを失う事の、なんと恐ろしいことか。
「ええ」
「だが幸せな人生‥‥。なんだよな?」
「ホトってば、先程から質問ばかりですね」
マナは、クスクスと微笑んだ。
そんないつもの彼女にホトは、隣の彼女はやはり強い女性だと感じた。
再び彼は、口を開く。
「また……、一緒になれるだろうか?」
「ええ…。きっと」
マナは、彼の手を握り穏やかに肯定した。
彼の手は大きく、それでいて温かい頼もしさを感じる。
「また同じ人生を歩む事がわかっているとしても……、私は貴方と一緒になりとう存じます」
「…マナ…」
ホトは心に決めた。
彼女と、また巡り会う事を。
「…ああ、マナ。今度こそ、なろうぜ」
彼女の手を握り返し、ホトは微笑んだ。
彼女の温もりを、今精一杯愛おしむ。
「まことの夫婦(めおと)に」
「なあ、チェン!次の人生ではさ!
学校とかにも通えんじゃね!?」
「うん!!」
「父ちゃんとも母ちゃんとも暮らせんじゃね!?」
「うん!!」
「また一緒に近所同士で遊びまくれんじゃね!?」
「うん!!」
「母語だけで会話できんじゃね!?」
「うん!!」
「あたりまえに当番とかしなくていんじゃね!?
そんでもう、1日や2日や3日忘れてSテレラにどやされて1週間ひとりでやらされるーとかもないんじゃね!?」
「うん!!」
「やりたい事やれまくりなんじゃね!?」
「うん!!」
来世への夢を描き、はしゃぐタオとチェン。
だが軈て、勢いも消沈していく。
「…はぁ――――…別れたくねー…みんなとバラバラだー…」
「そうだねー…もうマオとタオの突っつきあう姿が見れないなんて寂しいよ…」
「…ふ、ふんっ!もうバカバカ言われなくてせいせいすらぁ!」
プイとそっぽを向き、タオは強がってみせる。
「…ねぇ、タオ」
「なんだよ!」
「お願いがあるの。来世でも、どうかいつも笑っていて。
私も、笑うから」
「……!」
にっこり笑んでみせるチェンに、タオも満面の笑顔を咲かせた。
「おうっ!!ずーっとずーっとだ!!
チェンがいてくれるなら!」
「マオくん大丈夫?」
シアンが、ソファーで難しい顔をしているマオを気遣う。
隣に腰掛け、心配そうに見つめた。
「ずっと超浮かない顔してるよ?
当たり前かもだけど……。
またおんなじ時代、おんなじだけど良い人生を歩めるのよ?
大丈夫だよ、ボク達。絶対幸せになれるわ」
「……」
マオは、切ない表情でシアンを抱き寄せる。
「まっ、マオくん‥‥?」
体と体が密着し、彼の体温にシアンの胸がドキドキと高鳴る。
「シアン‥‥。我は‥‥。
どのような形でも良い。汝とまた出会いたい……」
「……」
「だが、その願いが叶った時にはもう、皆はいない……。
初代の皆は、我の事を忘れる。2代目と3代目の者は当然生まれてすらおらず……。
……こんな苦しさを感じれるほど、我は人間らしくなっていたのだな……」
初めての恋人。初めての友達。
学問だけを、おべっか使いの貴族だけを、言い寄ってくる女だけを、政だけを相手にし、冷たい世界で生きていた自分にとって、彼女や仲間達がどれ程の価値ある存在であったことだろう。
恋心や友情を知り、たくさんの感情を知った。
誰かの為に戦い、悪い現実を良くしようと協力しあえる大切さを知った。
気のおけない者と笑いあえる嬉しさを知った。
その全てを失う事の、なんと恐ろしいことか。