第17章 幸せをありがとう
(凄か……。あれが……)
あれが、“マナ一族”の本気の戦い……!
目の当たりにしたあまりの強さ、激しさにチョルくんは瞬きも忘れ固唾を飲んだ。
やがて冷徹な表情をした四天王が、マナ一族の前に降り立った。
アスデモスの傍らでは、竜太郎が牙を剥き唸り威嚇している。
「ハエ騎士団の皆に勝利をあげる事は出来なかったけど……、ここにいる3人のサタンとヘルデウス様に勝利をあげる事はまだ出来る!!
行くよ!!」
「「「我は求め、訴えたり!!!!」」」
ベルゼバブ、アスデモス、ルシファーは召喚の呪文を唱え、それぞれの武器を出現させた。
ルシファーの手には大鎌が、ベルゼバブの手には漆黒の槍が、アスデモスの手には鎖が収まる。
その刹那、ベルフェーゴルも呪文を唱える。
「斬り裂け、闇を纏いし暗黒の剣“ディオセレムグランス”!」
ベルフェーゴルの手から巨大な漆黒の剣が幾つも具現化し飛び出し、マナ一族達に頭上から襲い来る!
「消えよ!!」
ヒミコが掌を掲げ、それらを全て自身の魔力で打ち消す。
だが、息もつかせぬスピードで次から次へと魔術が放たれる。
「“サイスグランツ”!
“ディオセレムグランス”!
“サイスグランツ”!!
“サイギョクハ”!!」
まるで、魔力の嵐だ。
防いでも防いでもキリがない。
しかも、一撃一撃が通常のサタンのそれより重いのだ。
「クッ……あなた、魔力の使いすぎですわよ!!」
必死に魔術を防ぎつつ、イルカが叫んだ。
「おいらの魔力、これくらいじゃ切れないっす。
おいら、これだけなら地獄で一番だから」
「さすがはベルフェーゴル君だ。
もっとやっていいんだよ?」
爽やかな笑顔でドス黒いセリフを放つルシファーに、アスデモスが敵を嘲るように大笑いした。
「――あんまし、調子付いとるんやないでっ!!!」
魔力の嵐の中からエディが抜け出し、光の剣を振りかぶる。
全身の力を乗せ、ベルフェーゴルに向かい攻撃を開始した。
『――――待ってくれ!!!』
「――――‥っ…!!?」
突如、ベルフェーゴルを庇うように両の腕を広げて立った霊の出現に、エディは攻撃する手をピタリと止める。
「‥レオ‥‥?!」
「玲音君…っ?!」
「……ッ!あのおばけ野郎!!」
チョルくんは、慌てて崖を降り、彼らのもとに駆け付けた。
「おいっ!!おばけ野郎!!
お前、大人しく見守っとるんじゃなかったとか!!」
『………』
やはり、親友が斬られるのを黙って見てなどいられなかった。
自分にウソなどつけない。つけるはずがないじゃないか。
『皆さん、突然首突っ込んですみません。
俺は敦岡玲音。
フェル…悪魔ベルフェーゴルの地上の親友だ』
玲音は、驚く一同に続ける。
『今まで、黙って見守ってるつもりだった。
全てが終わるまで。
…でも、ダメだった。
一番の親友が斬られると思ったば、体が無意識に飛び出してだ』
“危なくなったら俺が助けてやる”
確かに自分は親友にそう誓った。
だが、この決戦は自分の出る幕ではない事など百も承知。
玲音は、一同に苦笑いを浮かべた。
『迷惑かけてほんとえごめんの?
俺、ちゃっちゃど成仏するわ』
「待って――‥‥」
ベルフェーゴルが切ない表情で玲音に何か言おうとした、次の瞬間。
大きな爆発音が轟き、遥か遠くに見える城が揺れたのだ。
「これは―――…!?
ヘルデウス様!!」
「急いで行くわよっ!!何かあったら…!!」
「ヘルデウス様!!!!」
「……ッ…!!!
レオ、おいらさついてきて!!一緒に来て!!おいらと!!」
『お、おうっ!!』
四天王が焦りに血相を変え城向かいに駆け出し、玲音もそんな彼らの後に付いていく。
チョルくんは、彼らを見届けながら、マナ一族達に問うた。
「…どげんすると?俺達も行くと?」
あれが、“マナ一族”の本気の戦い……!
目の当たりにしたあまりの強さ、激しさにチョルくんは瞬きも忘れ固唾を飲んだ。
やがて冷徹な表情をした四天王が、マナ一族の前に降り立った。
アスデモスの傍らでは、竜太郎が牙を剥き唸り威嚇している。
「ハエ騎士団の皆に勝利をあげる事は出来なかったけど……、ここにいる3人のサタンとヘルデウス様に勝利をあげる事はまだ出来る!!
行くよ!!」
「「「我は求め、訴えたり!!!!」」」
ベルゼバブ、アスデモス、ルシファーは召喚の呪文を唱え、それぞれの武器を出現させた。
ルシファーの手には大鎌が、ベルゼバブの手には漆黒の槍が、アスデモスの手には鎖が収まる。
その刹那、ベルフェーゴルも呪文を唱える。
「斬り裂け、闇を纏いし暗黒の剣“ディオセレムグランス”!」
ベルフェーゴルの手から巨大な漆黒の剣が幾つも具現化し飛び出し、マナ一族達に頭上から襲い来る!
「消えよ!!」
ヒミコが掌を掲げ、それらを全て自身の魔力で打ち消す。
だが、息もつかせぬスピードで次から次へと魔術が放たれる。
「“サイスグランツ”!
“ディオセレムグランス”!
“サイスグランツ”!!
“サイギョクハ”!!」
まるで、魔力の嵐だ。
防いでも防いでもキリがない。
しかも、一撃一撃が通常のサタンのそれより重いのだ。
「クッ……あなた、魔力の使いすぎですわよ!!」
必死に魔術を防ぎつつ、イルカが叫んだ。
「おいらの魔力、これくらいじゃ切れないっす。
おいら、これだけなら地獄で一番だから」
「さすがはベルフェーゴル君だ。
もっとやっていいんだよ?」
爽やかな笑顔でドス黒いセリフを放つルシファーに、アスデモスが敵を嘲るように大笑いした。
「――あんまし、調子付いとるんやないでっ!!!」
魔力の嵐の中からエディが抜け出し、光の剣を振りかぶる。
全身の力を乗せ、ベルフェーゴルに向かい攻撃を開始した。
『――――待ってくれ!!!』
「――――‥っ…!!?」
突如、ベルフェーゴルを庇うように両の腕を広げて立った霊の出現に、エディは攻撃する手をピタリと止める。
「‥レオ‥‥?!」
「玲音君…っ?!」
「……ッ!あのおばけ野郎!!」
チョルくんは、慌てて崖を降り、彼らのもとに駆け付けた。
「おいっ!!おばけ野郎!!
お前、大人しく見守っとるんじゃなかったとか!!」
『………』
やはり、親友が斬られるのを黙って見てなどいられなかった。
自分にウソなどつけない。つけるはずがないじゃないか。
『皆さん、突然首突っ込んですみません。
俺は敦岡玲音。
フェル…悪魔ベルフェーゴルの地上の親友だ』
玲音は、驚く一同に続ける。
『今まで、黙って見守ってるつもりだった。
全てが終わるまで。
…でも、ダメだった。
一番の親友が斬られると思ったば、体が無意識に飛び出してだ』
“危なくなったら俺が助けてやる”
確かに自分は親友にそう誓った。
だが、この決戦は自分の出る幕ではない事など百も承知。
玲音は、一同に苦笑いを浮かべた。
『迷惑かけてほんとえごめんの?
俺、ちゃっちゃど成仏するわ』
「待って――‥‥」
ベルフェーゴルが切ない表情で玲音に何か言おうとした、次の瞬間。
大きな爆発音が轟き、遥か遠くに見える城が揺れたのだ。
「これは―――…!?
ヘルデウス様!!」
「急いで行くわよっ!!何かあったら…!!」
「ヘルデウス様!!!!」
「……ッ…!!!
レオ、おいらさついてきて!!一緒に来て!!おいらと!!」
『お、おうっ!!』
四天王が焦りに血相を変え城向かいに駆け出し、玲音もそんな彼らの後に付いていく。
チョルくんは、彼らを見届けながら、マナ一族達に問うた。
「…どげんすると?俺達も行くと?」