第17章 幸せをありがとう
神殿を降りたマナ一族15人は、地獄へ到着した。
想像以上にあまりに暗く冷たい世界に、驚かない者はいなかった。
「空が、真っ黒い…。昼間のはずなのに…。雲までも……」
みほが、上空を見上げ呟く。
「本当に……。ボク達先祖も此処は初めてだけど、なんて超不気味な世界なんだろう……」
シアンも、呟いた。
「空気が凍てついて寒い……。こんな所で…」
(こんな場所で、チョルくんは………)
イルカは一瞬だけ憂いの表情になるが、すぐに切り替わる。
戦いの顔に。
「行きましょう、皆さん!!
目指すは城ですわよ!!」
「……………!」
「……!」
「………!」
「…!」
ヘルデウスの部屋に集まっていた四天王とチョルくん。
四天王は何かを感じ取り、素早く席を立つ。
「ど、どげんしたと……?」
チョルくんは、動揺した素振りを見せる。
その傍らヘルデウスは、不気味な程静かに落ち着き払っている。
「マナ一族が来たの!!あたい、ハエ騎士団を集めて戦ってくる!!」
「そうよ!!こっちに向かってるわ!!
私ら将軍だから行かなくちゃ!!
ファル、フェル、あんたらも補佐官として来な!!」
「勿論さ!!全員、この私の手で屍にしてくれよう!!」
「襲撃とはいい度胸っす!!今度こそ負けないっす!!」
「頼んだぞ。お前達」
「「「「はい!!!」」」」
ヘルデウスの威厳に満ちた声にやる気を高め、四天王は勢い良く扉を開け全速力で部屋を飛び出してゆく。
それを見届けるとヘルデウスは、チラとチョルくんに目配せをした。
意味深なそれに、チョルくんは息を飲む。
「……俺は、どちらの戦いの邪魔もせんし。
ただ……、見届けさせてもらう」
「そうか…」
「だが、もし俺がお前らの邪魔になる事があったら、その時は遠慮なく好きにしてくれて構わんし。
煮るなり焼くなり好きにせんね」
「…死が、怖くないのか」
「んなもん怖くなか。もうなんでん来いっち感じだし。
俺が怖いち思うんは、誰からも必要とされん人間やと感じる瞬間やし。
その時にはもう、終わりだし。
生きてりゃいい事があるっち思いたかろ?俺は、思いたい」
チョルくんは、ヘルデウスに背を向け出入口まで歩いて行っている為、表情は見えない。
しかし、ヘルデウスには彼の心が酷く空虚である事が伝わる。
「外…崖に行く。
あそこなら上から全体ば見渡せるけん…そこから、静かに観戦してくるし。
誰もおらんで寂しかろうが、我慢しんしゃいよ?」
「馬鹿馬鹿しい…。行くなら早く行け」
フッと口元を緩め、ヘルデウスは意地悪くチョルくんに返した。
チョルくんは変わらず表情は見せぬまま、退室して行った。
(これから…きっと来る。別れの時が。
アイツに悲しい顔なんか、見せてたまるか。
さあ、これからどげんなるか全部見ちゃろうじゃないか)
想像以上にあまりに暗く冷たい世界に、驚かない者はいなかった。
「空が、真っ黒い…。昼間のはずなのに…。雲までも……」
みほが、上空を見上げ呟く。
「本当に……。ボク達先祖も此処は初めてだけど、なんて超不気味な世界なんだろう……」
シアンも、呟いた。
「空気が凍てついて寒い……。こんな所で…」
(こんな場所で、チョルくんは………)
イルカは一瞬だけ憂いの表情になるが、すぐに切り替わる。
戦いの顔に。
「行きましょう、皆さん!!
目指すは城ですわよ!!」
「……………!」
「……!」
「………!」
「…!」
ヘルデウスの部屋に集まっていた四天王とチョルくん。
四天王は何かを感じ取り、素早く席を立つ。
「ど、どげんしたと……?」
チョルくんは、動揺した素振りを見せる。
その傍らヘルデウスは、不気味な程静かに落ち着き払っている。
「マナ一族が来たの!!あたい、ハエ騎士団を集めて戦ってくる!!」
「そうよ!!こっちに向かってるわ!!
私ら将軍だから行かなくちゃ!!
ファル、フェル、あんたらも補佐官として来な!!」
「勿論さ!!全員、この私の手で屍にしてくれよう!!」
「襲撃とはいい度胸っす!!今度こそ負けないっす!!」
「頼んだぞ。お前達」
「「「「はい!!!」」」」
ヘルデウスの威厳に満ちた声にやる気を高め、四天王は勢い良く扉を開け全速力で部屋を飛び出してゆく。
それを見届けるとヘルデウスは、チラとチョルくんに目配せをした。
意味深なそれに、チョルくんは息を飲む。
「……俺は、どちらの戦いの邪魔もせんし。
ただ……、見届けさせてもらう」
「そうか…」
「だが、もし俺がお前らの邪魔になる事があったら、その時は遠慮なく好きにしてくれて構わんし。
煮るなり焼くなり好きにせんね」
「…死が、怖くないのか」
「んなもん怖くなか。もうなんでん来いっち感じだし。
俺が怖いち思うんは、誰からも必要とされん人間やと感じる瞬間やし。
その時にはもう、終わりだし。
生きてりゃいい事があるっち思いたかろ?俺は、思いたい」
チョルくんは、ヘルデウスに背を向け出入口まで歩いて行っている為、表情は見えない。
しかし、ヘルデウスには彼の心が酷く空虚である事が伝わる。
「外…崖に行く。
あそこなら上から全体ば見渡せるけん…そこから、静かに観戦してくるし。
誰もおらんで寂しかろうが、我慢しんしゃいよ?」
「馬鹿馬鹿しい…。行くなら早く行け」
フッと口元を緩め、ヘルデウスは意地悪くチョルくんに返した。
チョルくんは変わらず表情は見せぬまま、退室して行った。
(これから…きっと来る。別れの時が。
アイツに悲しい顔なんか、見せてたまるか。
さあ、これからどげんなるか全部見ちゃろうじゃないか)