第16章 幾つもの日々を越えて

『皆さん、ついにその時が来ました』
マナの女神は、神妙な面持ちで告げた。
『悪魔が、地上を攻め落とさんとしています。
…それも、二日後に。
先程、ヘルデウスと四天王が議決しておりました事です』
「「「「「!!!!」」」」」
「その為に、緊急召集令を女神様はお出しになったんだ。
皆で、どうするか考える為に」
エステレラが言った。
「そんなの決まってるじゃない……!防ぐしかないわよ!!」
みほが叫ぶ。
「二日後、なんて……。早すぎる…」
「地上は超広いのよ。
地獄の全人口を占めるハエ騎士団は、全軍合わせて総勢5億。
一気に散らばったら、ひとたまりもないよ…」
チェンが、シアンが呟いた。
「かと言って、このままにしておくわけにもいかないよ!!
ボク達の地上が悪魔の帝国になっちゃう!!」
アダムが悲痛に叫んだ。
「そうですわ!
…それに……。チョルくんも……」
「…どうなるか…、わかりませんものね…。
私……。彼が悲惨な目に遇うのを、見とうありませぬ」
イルカとマナは、チョルくんの境遇を思い俯いた。
世界が悪魔の支配する帝国となれば、彼は惨殺されてしまうに違いない。
悪魔にとって人類など、不必要な存在であるからだ。
目障りでしかあるまい。
だとしたら……、
「救い出せば良いだけなのである!!
あとは、彼自身がなんとかする!!
見たであろう?彼の行動力を!
我々が信じずしてどうするか!!」
「そうだぜ、皆!!
アイツはやれるって信じてやるしかねぇじゃねえか!!
オレ達、友達だろ!?」
「…イリスェント…。タオ…」
不遇の人生を経験したばかりに最も“信頼”からかけ離れていた二人が、他者を、チョルくんを信じようと仲間に訴えかけている。
エステレラは、彼らの成長に目を見張った。
「イリスェントさんとタオさんの言うとおりです!
‥それに……。間に合わないのであれば、こちらから攻めれば良い!」
ミンウの力ある言葉に、全員がハッと目を見開いた。
そうだ。攻められてからではおそいのであれば、こちらから攻め入れば良いではないか。
気弱な少年とは思えない力強い意見に、誰一人として反対者は出なかった。
「そうだ…!そうすれば良いんだそうすればっ。
こちらから地獄に乗り込めば、むしろこちら側が優勢で戦を進められる!!」
「やるしかないね」
ホト、あゆむが言った。
あゆむは、ゴクリと固唾を飲む。
「成功すれば…。地上も、テチョルさんも、救い出せるかも?」
コルちゃんが勇み足に呟く。
「これしかあらへんな。悪魔を滅ぼし、世界ごと友達も守るには!」
エディは士気を高める。
「サタンが地上に立ち入る前に、皆一斉にやったるんや!!」
「左様。バラバラになったのでは、勝率が下がる。
皆固まって行動するのだ」
「悪魔は、5億…それに、四天王やヘルデウスもおるのだからの」
マオ、ヒミコが言った。
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