第16章 幾つもの日々を越えて
「てか、お前おばけとはいえ人間やろ…?
なしてこげなとこにおるんよ」
『友達を見守る為や。
全てが片付いたら、潔く成仏しようど思うぞ』
「そっか…」
『――で、おめさんはどうすんな?これから』
「へっ……?」
思いがけない質問に、チョルくんはきょとんとした表情で玲音を見る。
『おめ、人質としての役割は終わった上にこれから大戦争じゃん。
どうゆう立場さ立つな?
図々しいようだけどやぁ~、今まで殺されなかったなが不思議だど思うなやのぉ~』
「…………」
『愛されてんね?』
玲音は、パチンとウインクした。
「…。…俺は…。中立に回るし。
皆や世界がどげんなるか、見守ろうと思う」
『ふーん。んだが』
玲音が相槌を打つ。それから会話が止まり、暫し静寂が戻る。
再び口を開いたのは、玲音だった。
『…俺、フェルさ酷な事言った』
「………」
『ええ世の中さしての、って。
…アイツが何の為に生きてるかさえ知っていたら、あんな事は言わなかったのに』
玲音は、後悔しているのだ。
ベルフェーゴルが人間のフリをしていたとはいえ見たままのカタチに捕らわれてしまい、親友を苦しめてしまった事を。
悪魔が生きる理由。
それは、世界への報復。
なぜあの時、ありのままの彼を受け入れてやれなかったのか。
「…仕方なかよ。俺やって、本音では良か世界ば望んどる。
人間ってそんなもんだし」
『おめ、悟ってんのぉ~…。
まだ若っけなさ、すごいんだぞ』
「俺って、賢かろ?」
にひっとチョルくんは悪戯に笑む。
「それじゃあな!おばけ野郎。
さっさと成仏しんしゃいよっ?」
明るく軽口を叩き、部屋の外に出ていくチョルくん。
玲音は無言で舌を出した。
「あいやぁ。美味しいです~」
「せやろせやろー。もっと食べて~」
一方、所変わって神殿。
民家の居間に当たる部屋では、ミンウとエディがティータイムを楽しんでいた。
ミンウはミルフィーユを咀嚼し、ニコニコ幸せそうに微笑む。
「戦争中の癒しですねぇ。
これがなきゃやってられません」
「わいも、おやつ作らなやっとれんわぁ。
うんっ!今回は上手く出来た感じするわ!美味しい!」
「美味しいですねぇ~」
部屋の空気は、二人によって和やかな空間となっている。
「汝らは平和だな…」
「美味そうな菓子だな。俺にもくれよ俺にも」
そこに、マオとホトがやって来た。
「ええよ~、いっしょにおやつしようやぁ♪
わいお手製のミルフィーユやで!」
「マオさんも食べましょうよ?」
「そうだな!マオもこっち来いよこっち」
「あ、ああ…」
ホトに手を引かれ、マオはホトの席の隣に腰掛けた。
エディはワンホールのミルフィーユを切り分け、皿に乗せ二人の前に置く。
「はいっ、召し上がれ」
「おう、いただきます」
「…いただきます」
ホトとマオが手を合わせた、ほぼ同時だった。
「みんなっ、召集!!」
みほがドアを勢いよく開き、大きな声で現れたのは。
それにびっくりしたミンウが、飲んでいた紅茶を誤り気管に入れ盛大にむせ、エディに背中をさすられるはめになった。
「あ、あら‥‥、ごめんなさい」
「誰からの召集だ?」
マオが、もくもくとミルフィーユを食べながらみほに訊ねる。
なしてこげなとこにおるんよ」
『友達を見守る為や。
全てが片付いたら、潔く成仏しようど思うぞ』
「そっか…」
『――で、おめさんはどうすんな?これから』
「へっ……?」
思いがけない質問に、チョルくんはきょとんとした表情で玲音を見る。
『おめ、人質としての役割は終わった上にこれから大戦争じゃん。
どうゆう立場さ立つな?
図々しいようだけどやぁ~、今まで殺されなかったなが不思議だど思うなやのぉ~』
「…………」
『愛されてんね?』
玲音は、パチンとウインクした。
「…。…俺は…。中立に回るし。
皆や世界がどげんなるか、見守ろうと思う」
『ふーん。んだが』
玲音が相槌を打つ。それから会話が止まり、暫し静寂が戻る。
再び口を開いたのは、玲音だった。
『…俺、フェルさ酷な事言った』
「………」
『ええ世の中さしての、って。
…アイツが何の為に生きてるかさえ知っていたら、あんな事は言わなかったのに』
玲音は、後悔しているのだ。
ベルフェーゴルが人間のフリをしていたとはいえ見たままのカタチに捕らわれてしまい、親友を苦しめてしまった事を。
悪魔が生きる理由。
それは、世界への報復。
なぜあの時、ありのままの彼を受け入れてやれなかったのか。
「…仕方なかよ。俺やって、本音では良か世界ば望んどる。
人間ってそんなもんだし」
『おめ、悟ってんのぉ~…。
まだ若っけなさ、すごいんだぞ』
「俺って、賢かろ?」
にひっとチョルくんは悪戯に笑む。
「それじゃあな!おばけ野郎。
さっさと成仏しんしゃいよっ?」
明るく軽口を叩き、部屋の外に出ていくチョルくん。
玲音は無言で舌を出した。
「あいやぁ。美味しいです~」
「せやろせやろー。もっと食べて~」
一方、所変わって神殿。
民家の居間に当たる部屋では、ミンウとエディがティータイムを楽しんでいた。
ミンウはミルフィーユを咀嚼し、ニコニコ幸せそうに微笑む。
「戦争中の癒しですねぇ。
これがなきゃやってられません」
「わいも、おやつ作らなやっとれんわぁ。
うんっ!今回は上手く出来た感じするわ!美味しい!」
「美味しいですねぇ~」
部屋の空気は、二人によって和やかな空間となっている。
「汝らは平和だな…」
「美味そうな菓子だな。俺にもくれよ俺にも」
そこに、マオとホトがやって来た。
「ええよ~、いっしょにおやつしようやぁ♪
わいお手製のミルフィーユやで!」
「マオさんも食べましょうよ?」
「そうだな!マオもこっち来いよこっち」
「あ、ああ…」
ホトに手を引かれ、マオはホトの席の隣に腰掛けた。
エディはワンホールのミルフィーユを切り分け、皿に乗せ二人の前に置く。
「はいっ、召し上がれ」
「おう、いただきます」
「…いただきます」
ホトとマオが手を合わせた、ほぼ同時だった。
「みんなっ、召集!!」
みほがドアを勢いよく開き、大きな声で現れたのは。
それにびっくりしたミンウが、飲んでいた紅茶を誤り気管に入れ盛大にむせ、エディに背中をさすられるはめになった。
「あ、あら‥‥、ごめんなさい」
「誰からの召集だ?」
マオが、もくもくとミルフィーユを食べながらみほに訊ねる。