第16章 幾つもの日々を越えて
突然ですが、私ルシファー。
信じられないモノを目の当たりにしました。
あのベルフェーゴル君が、人間と仲良さげに話しているのです。
ええ、あのベルフェーゴル君がですよ?
よっぽど心を許した相手にしか笑顔を見せないベルフェーゴル君が、楽しそうに笑って話しているんです。マジで。
…まあ、それは置いといて…。
なぜ廊下のど真ん中にパツキンの幽霊がいるというね。
やがてルシファー曰く“パツキンの幽霊”は、ベルフェーゴルにそろそろ仕事行ったらと促した。
ベルフェーゴルがパタパタと走り去ると、パツキンの幽霊はルシファーの側まで移動してきた。
『こんにちは。えーっと……ファル、さん?』
「なんだ君は…何故人間がこの城に?」
ルシファーは、警戒しながら訊ねる。
そんな彼に、パツキンの幽霊はぺこりと会釈した。
『フェルの友人の敦岡玲音です!
1000年前からこっそり勝手にこの城に住み着いて、フェルを見守ってました。
すみませんの』
「へえ、君があのベルフェーゴル君の友人ね‥‥」
『あれ?知ってんな?』
「サタンは、相手の心や過去が自ずと読めるからね」
ルシファーは溜め息を吐く。
「…あーあ。ベルフェーゴル君てば。
知らない人間についてっちゃいけないって、何度言ったらわかるんだろう」
『おめはフェルの保護者か何かが?』
玲音は思ったままを口にした。
『俺、普段はフェルの部屋さいっがら。
ファルさんや皆さんの仕事の邪魔はしないぞ。
フェルを助ける為だけにいるんだもん』
「そうかい」
まだ疑心暗鬼の眼をしているルシファーを見て、玲音はひとつ付け加えた。
『別に俺、悪魔だからどうとかもう言わないぞ?
疑ってるみでだけど、この1000年みんなを見てて学んだんだ。
おめえら、ほんとは悪ぐねあんろ?』
人間の口から出たものとは思えない言葉に、ルシファーは目を見開く。
『俺、ぜーんぶ知ってっぞ。今までのこと。
ファルさんも皆も、すごく生き生き暮らしてっけど…もっともっと、のびのび暮らせてもいいと思うあんよのぉ~‥』
「のびのび?我々の苦しみの権化である人間が何を……」
『おめえらはやぁ‥‥。優しい心を持ってっから、苦しいあんねえ?』
優しい心を持ってるから、苦しいんじゃないか?
そんなこと、初めて言われた。
ましてや、人間相手に。
ルシファーは、玲音の純粋な言葉に驚いた。
偽善は、ひとかけらも感じられない。
信じられないモノを目の当たりにしました。
あのベルフェーゴル君が、人間と仲良さげに話しているのです。
ええ、あのベルフェーゴル君がですよ?
よっぽど心を許した相手にしか笑顔を見せないベルフェーゴル君が、楽しそうに笑って話しているんです。マジで。
…まあ、それは置いといて…。
なぜ廊下のど真ん中にパツキンの幽霊がいるというね。
やがてルシファー曰く“パツキンの幽霊”は、ベルフェーゴルにそろそろ仕事行ったらと促した。
ベルフェーゴルがパタパタと走り去ると、パツキンの幽霊はルシファーの側まで移動してきた。
『こんにちは。えーっと……ファル、さん?』
「なんだ君は…何故人間がこの城に?」
ルシファーは、警戒しながら訊ねる。
そんな彼に、パツキンの幽霊はぺこりと会釈した。
『フェルの友人の敦岡玲音です!
1000年前からこっそり勝手にこの城に住み着いて、フェルを見守ってました。
すみませんの』
「へえ、君があのベルフェーゴル君の友人ね‥‥」
『あれ?知ってんな?』
「サタンは、相手の心や過去が自ずと読めるからね」
ルシファーは溜め息を吐く。
「…あーあ。ベルフェーゴル君てば。
知らない人間についてっちゃいけないって、何度言ったらわかるんだろう」
『おめはフェルの保護者か何かが?』
玲音は思ったままを口にした。
『俺、普段はフェルの部屋さいっがら。
ファルさんや皆さんの仕事の邪魔はしないぞ。
フェルを助ける為だけにいるんだもん』
「そうかい」
まだ疑心暗鬼の眼をしているルシファーを見て、玲音はひとつ付け加えた。
『別に俺、悪魔だからどうとかもう言わないぞ?
疑ってるみでだけど、この1000年みんなを見てて学んだんだ。
おめえら、ほんとは悪ぐねあんろ?』
人間の口から出たものとは思えない言葉に、ルシファーは目を見開く。
『俺、ぜーんぶ知ってっぞ。今までのこと。
ファルさんも皆も、すごく生き生き暮らしてっけど…もっともっと、のびのび暮らせてもいいと思うあんよのぉ~‥』
「のびのび?我々の苦しみの権化である人間が何を……」
『おめえらはやぁ‥‥。優しい心を持ってっから、苦しいあんねえ?』
優しい心を持ってるから、苦しいんじゃないか?
そんなこと、初めて言われた。
ましてや、人間相手に。
ルシファーは、玲音の純粋な言葉に驚いた。
偽善は、ひとかけらも感じられない。