第15章 友情の狂詩曲
「一緒に、天上界の先祖のもとに来て欲しい。
見たでしょう?聞いたでしょう?悪魔は、隙あらば早くと世界を蝕もうとしている。
一刻を争うんだ」
「…彼奴、言ってた。皆裏切るから、信じられないって……」
タオが苦し気に呟く。
「他なんか、いらないって」
「「「「「………」」」」」
「オレだって、同じだよ。他人なんざ信じられない。
そんなオレが、天に行ったところで皆やこの世界に何か得るものがあるのか……?」
タオの心は、大きく揺れていた。
久しくマナの者である自らが必要とされている。
そして、世界の危機。
拗ねている場合ではない事など、頭ではわかっている。
しかし、心は違った。
戸惑いしか無い。
「…オレは……。行けない…。
皆の環(わ)を崩しそうで怖い……。
オレみたいなのは…。精霊じゃない…」
「…タオが来なきゃ、始まらないよ」
ハカセは、俯いたタオの肩をぽんぽん叩く。
「それに、人は変われる。
君のご先祖様達だってそうだった」
「………」
俯いたままのタオの右手が、温かな小さい手に握られた。
タオは、繋がれた手の方を振り向く。
「タオ。一緒に行こう。
私、タオがいればなんにも不安なんかないよ。
生き抜ける」
そこには、柔らかに微笑むチェンがあった。
タオは、返事の代わりに彼女の手を握り返した。
「みーんな信じてるからねっ?タオのこと!
信じてくれるまで一方通行に信じちゃうから?」
アダムは、ニッと笑顔をタオに向ける。
「…メイワクな奴…」
タオは目をそらし呟くが、頬が赤らんでいるのを皆見逃さなかった。
((((この人、ツンデレだ…))))
チェン以外の心の声が重なった。
「楽しくなりそうじゃのう」
ヒミコが、ほっほっほっ、と口元に手を当てがい笑う。
「よーっし!では、マナの世界に!
レッツ・ゴ~~~~~~ッ!」
ハカセの明るい声が合図となり、一同は天上へと運ばれた―――――――………。
「…という出会いだったかな。私達は。
懐かしいな~♪」
「1000年も前の事なのに、案外覚えてるもんだよね~」
「うわぁ‥‥ドラマチックです」
コルちゃんは、感動の声で呟いた。
「でも……、タオさんがそんな子だったのが、とても意外です…。
今のタオさんからは、とても想像がつかない……」
「マオが、タオの笑顔を取り戻してくれたの。
あの二人おそろいの帽子は、マオからの贈り物なんだ。
タオが本来の明るさで生き抜く事ができますようにって、お守り」
チェンは、柔らかに噛み締めるようにそう言った。
穏やかな表情から、タオへの深い愛情やマオへの感謝の気持ちを感じ取れる。
「本当に優しい人こそ、あんなふうに切羽詰まって悩んじゃうんだよね。
僕、今のタオが一番好きだな。遊んでいて楽しいしね」
「‥わたしも、好きです。
大好き」
コルちゃんは、曇りのない澄んだ紫水晶の瞳で微笑んだ。
見たでしょう?聞いたでしょう?悪魔は、隙あらば早くと世界を蝕もうとしている。
一刻を争うんだ」
「…彼奴、言ってた。皆裏切るから、信じられないって……」
タオが苦し気に呟く。
「他なんか、いらないって」
「「「「「………」」」」」
「オレだって、同じだよ。他人なんざ信じられない。
そんなオレが、天に行ったところで皆やこの世界に何か得るものがあるのか……?」
タオの心は、大きく揺れていた。
久しくマナの者である自らが必要とされている。
そして、世界の危機。
拗ねている場合ではない事など、頭ではわかっている。
しかし、心は違った。
戸惑いしか無い。
「…オレは……。行けない…。
皆の環(わ)を崩しそうで怖い……。
オレみたいなのは…。精霊じゃない…」
「…タオが来なきゃ、始まらないよ」
ハカセは、俯いたタオの肩をぽんぽん叩く。
「それに、人は変われる。
君のご先祖様達だってそうだった」
「………」
俯いたままのタオの右手が、温かな小さい手に握られた。
タオは、繋がれた手の方を振り向く。
「タオ。一緒に行こう。
私、タオがいればなんにも不安なんかないよ。
生き抜ける」
そこには、柔らかに微笑むチェンがあった。
タオは、返事の代わりに彼女の手を握り返した。
「みーんな信じてるからねっ?タオのこと!
信じてくれるまで一方通行に信じちゃうから?」
アダムは、ニッと笑顔をタオに向ける。
「…メイワクな奴…」
タオは目をそらし呟くが、頬が赤らんでいるのを皆見逃さなかった。
((((この人、ツンデレだ…))))
チェン以外の心の声が重なった。
「楽しくなりそうじゃのう」
ヒミコが、ほっほっほっ、と口元に手を当てがい笑う。
「よーっし!では、マナの世界に!
レッツ・ゴ~~~~~~ッ!」
ハカセの明るい声が合図となり、一同は天上へと運ばれた―――――――………。
「…という出会いだったかな。私達は。
懐かしいな~♪」
「1000年も前の事なのに、案外覚えてるもんだよね~」
「うわぁ‥‥ドラマチックです」
コルちゃんは、感動の声で呟いた。
「でも……、タオさんがそんな子だったのが、とても意外です…。
今のタオさんからは、とても想像がつかない……」
「マオが、タオの笑顔を取り戻してくれたの。
あの二人おそろいの帽子は、マオからの贈り物なんだ。
タオが本来の明るさで生き抜く事ができますようにって、お守り」
チェンは、柔らかに噛み締めるようにそう言った。
穏やかな表情から、タオへの深い愛情やマオへの感謝の気持ちを感じ取れる。
「本当に優しい人こそ、あんなふうに切羽詰まって悩んじゃうんだよね。
僕、今のタオが一番好きだな。遊んでいて楽しいしね」
「‥わたしも、好きです。
大好き」
コルちゃんは、曇りのない澄んだ紫水晶の瞳で微笑んだ。