第15章 友情の狂詩曲
「上等‥‥。探す手間が省けたっす。
5人まとめて、殺してやる」
この時チェンはベルフェーゴルの目の奥に、真っ黒い狂気のようなモノを見た。
「…ッ…!このおおおぉッ!!!!!」
タオが地を蹴り、ベルフェーゴルに向かい駆け出した。
戦塵が舞い、格闘家の鉄脚の一撃が繰り出される!
対しベルフェーゴルは微動だにせず、それを両手で受け止めると、そのまま前へ押し返した。
「…ッく……!」
タオはなんとか体勢を持ちこたえ、再び臨戦態勢に入る。
「なんなんだよお前はぁっ!!?
オレ達のことなんかほっときゃいいだろ!?」
「…ダメだよ……。タオ……。逃がしちゃいけない……」
アダムが、青い顔で口を開く。
「今逃がしたら、もっとたくさんの人間が死んじゃう!!
いつか、教会で神父様がお話してた。
悪魔は、神様や人類の宿敵‥‥。
だからきっと、それに仕えるマナ一族も悪魔に取って目障りなんだよ……!!
怖いけど、ここでボクらがほっといたらダメなんだ!!」
「そういう事になるね」
音もなく現れた天使に、マナ一族達はハッと目を見張る。
突然現れたはずなのに、何も不気味さを感じない。
むしろ、温かさすら………。
「さすが“学者”だね。
小さい子の判断力とは思えない」
「…An、gel……?」
呟いたアダムに微笑むと、天使は悪魔に冷徹な目を向ける。
「何か用っすか。裏切り者のエステレラ君?」
ベルフェーゴルの纏う殺気が強まる。
「‥謝っても赦されない事って、あるよね」
エステレラは、憂いの表情でフゥと小さくため息をついた。
「僕のした事も、君のした事も」
「おいら…?!おいら何も悪くない!!
言われたことを守っているだけっす!!」
「君は、こんな罪もない子ども達を殺して喜べるような悪い人じゃなかったよね?」
思いがけないエステレラの優しく厳しい台詞に、ベルフェーゴルは言葉を詰まらせる。
「……………」
「一緒に暮らしていた頃の君は、そんなんじゃなかったよ」
「……………」
「ベルフェーゴル…」
「おいら間違ってない!!!!おめえらが間違ってる!!!」
ベルフェーゴルは半狂乱で叫んだ。
自分は何も悪くない。
自分に歯向かうヤツラが悪い、殺されたヤツラも皆等しく罪がある。
あの裏切り者も、死んで当然。何も悲しくなんかない。
そう思うことでしか、己を保てそうになかった。
頭が酷く混乱し、上手く働かない。
「間違いに間違いで対応するのかい?
それで幸せに近付けると思ってるの?悪魔って今みんなそう?」
「うるさい!!!!!うるさいッ!!!!!!!」
叫びながらベルフェーゴルは、魔力を溜めようとする。
しかしチカラはとうに尽きたのか、もう魔力は発動しなかった。
(…田舎ひとつ消し飛ばせば、そんなもんじゃな)
ヒミコは、声に出さず心で呟いた。
5人まとめて、殺してやる」
この時チェンはベルフェーゴルの目の奥に、真っ黒い狂気のようなモノを見た。
「…ッ…!このおおおぉッ!!!!!」
タオが地を蹴り、ベルフェーゴルに向かい駆け出した。
戦塵が舞い、格闘家の鉄脚の一撃が繰り出される!
対しベルフェーゴルは微動だにせず、それを両手で受け止めると、そのまま前へ押し返した。
「…ッく……!」
タオはなんとか体勢を持ちこたえ、再び臨戦態勢に入る。
「なんなんだよお前はぁっ!!?
オレ達のことなんかほっときゃいいだろ!?」
「…ダメだよ……。タオ……。逃がしちゃいけない……」
アダムが、青い顔で口を開く。
「今逃がしたら、もっとたくさんの人間が死んじゃう!!
いつか、教会で神父様がお話してた。
悪魔は、神様や人類の宿敵‥‥。
だからきっと、それに仕えるマナ一族も悪魔に取って目障りなんだよ……!!
怖いけど、ここでボクらがほっといたらダメなんだ!!」
「そういう事になるね」
音もなく現れた天使に、マナ一族達はハッと目を見張る。
突然現れたはずなのに、何も不気味さを感じない。
むしろ、温かさすら………。
「さすが“学者”だね。
小さい子の判断力とは思えない」
「…An、gel……?」
呟いたアダムに微笑むと、天使は悪魔に冷徹な目を向ける。
「何か用っすか。裏切り者のエステレラ君?」
ベルフェーゴルの纏う殺気が強まる。
「‥謝っても赦されない事って、あるよね」
エステレラは、憂いの表情でフゥと小さくため息をついた。
「僕のした事も、君のした事も」
「おいら…?!おいら何も悪くない!!
言われたことを守っているだけっす!!」
「君は、こんな罪もない子ども達を殺して喜べるような悪い人じゃなかったよね?」
思いがけないエステレラの優しく厳しい台詞に、ベルフェーゴルは言葉を詰まらせる。
「……………」
「一緒に暮らしていた頃の君は、そんなんじゃなかったよ」
「……………」
「ベルフェーゴル…」
「おいら間違ってない!!!!おめえらが間違ってる!!!」
ベルフェーゴルは半狂乱で叫んだ。
自分は何も悪くない。
自分に歯向かうヤツラが悪い、殺されたヤツラも皆等しく罪がある。
あの裏切り者も、死んで当然。何も悲しくなんかない。
そう思うことでしか、己を保てそうになかった。
頭が酷く混乱し、上手く働かない。
「間違いに間違いで対応するのかい?
それで幸せに近付けると思ってるの?悪魔って今みんなそう?」
「うるさい!!!!!うるさいッ!!!!!!!」
叫びながらベルフェーゴルは、魔力を溜めようとする。
しかしチカラはとうに尽きたのか、もう魔力は発動しなかった。
(…田舎ひとつ消し飛ばせば、そんなもんじゃな)
ヒミコは、声に出さず心で呟いた。