第15章 友情の狂詩曲
「あんだとォ!!」
「いてぇ目に会いてぇのかコラァ!!!?」
男達が、一斉にベルフェーゴルに襲いかかろうとした、まさにその時。
「痛ぇ目さ会うなはおめえらだ!!!!」
「がはっ!!」
「ギャッ!!」
「でっ!!」
男達を、金色の髪の分け目をピンで止めた紅眼の青年があっというまに蹴散らした。
「なんだてめえは!!何しやがる!?」
「何しやがるはこっちのセリフや!!
1人さ大勢がたかってカツアゲあんて…俺だって元ヤンだども、んな下品だマネこいた事ねえぞ!
よその区域の人イジメんあんて、恥ずかしど思わねなが!!」
「何をォ?!!!!」
男達は反撃しようとするが、青年の冷ややかかつ迫力を醸し出す眼光にビクッと怯むと後退りし、
「「「おっ…覚えてろーっ!!!」」」
皆一目散に退散していった。
「ハァーハハハ!!この紅眼の獣王(レオ)様の前で悪り事すっさげ(から)やパアどもめ!!」
「…………」
人間が……、自分を助けてくれた?
人の姿を借りているからとは言え、ベルフェーゴルは戸惑わずにはいられなかった。
「のぉ?大丈夫だが?」
まだ若干警戒しながらも、ベルフェーゴルはコクコクと小さく頷く。
「あはは、そんげ(そんな)怖がらなくて大丈夫だぞ!!
俺は、なんもしないから。
良がったのぉ~、お金取らいね(取られな)ぐで!!
俺、ああゆう下品な連中見っどイラつくあんよ~っ」
強い訛りで、気さくにペラペラとよく喋る青年に、ベルフェーゴルも徐々に警戒心がとけゆく。
「おめさん、見たとこ俺とおんなじくらいの年かの?
俺は敦岡玲音♪よろしぐの!
おめは??どごの区域から来たなや?」
「…………」
悪魔だとバレて、任務に失敗してはまずい。
ベルフェーゴルは、ウソをつくことにした。
恩人に対してチクチクと罪悪感が生じるが、人間相手と割り切れば、苦しさも和らぐはずだろうと。
「……“フェル”……。
ユーエスエイ区域、から…」
「へぇーっ!!フェルか!!
かっこええ名前だのっ!!」
そんな自分に対し玲音は、騙されていることも知らず満面の笑顔を見せてくれる。
そんな彼に、ベルフェーゴルは申し訳なさを感じてならなかった。
「フェルは、なしてこさ(ここに)来たな?
観光?ビジネス?」
「ビジネスっす…。
でも、慣れない場所で、よくわからなくて…」
「そいだば(それなら)、俺が教えでやっぞ!
なんならやぁ、俺んちさ住んでもかまわねよ?
初めでの場所で大変だろ?」
「………」
確かに、初めての場所ゆえ右も左もわからない上、まだ住む場所さえない。
なのでベルフェーゴルは、彼の言葉に甘える事にした。
人間と住む事に対する嫌悪感も、不思議と彼相手ならば薄れてしまう。
「…うん…」
「よっしゃあ!!決まりだのぉ~!!
嬉しっちゃあ~っ。あ、気ぃ使わねで良さげの?俺、一人暮らしだもん。
んださげ、仲良ぐしようの?フェル!!」
「一人暮らし、なんすか…?」
「戦争や。みぃーんな先に空の向こうさ行っちまった」
玲音は一瞬、影のある顔を見せる。
が、またすぐに太陽のような彼に戻った。
「本当(ほんとえ)寂しっけぇ~~。参った世の中だよのぉ~。
フェル、いつかえぇ世の中さしての?」
本当に寂しかった。
その一言は明るく放たれたが、心の奥底にしまいこまれた重みがサタンであるベルフェーゴルには伝わった。
(ごめん…おいらは、レオの期待に応えられない…)
世界への報復を生きる糧とする悪魔が、良い世の中になどする事は出来ない……
ベルフェーゴルは、初めて人間に対し罪悪感を感じた。
「いてぇ目に会いてぇのかコラァ!!!?」
男達が、一斉にベルフェーゴルに襲いかかろうとした、まさにその時。
「痛ぇ目さ会うなはおめえらだ!!!!」
「がはっ!!」
「ギャッ!!」
「でっ!!」
男達を、金色の髪の分け目をピンで止めた紅眼の青年があっというまに蹴散らした。
「なんだてめえは!!何しやがる!?」
「何しやがるはこっちのセリフや!!
1人さ大勢がたかってカツアゲあんて…俺だって元ヤンだども、んな下品だマネこいた事ねえぞ!
よその区域の人イジメんあんて、恥ずかしど思わねなが!!」
「何をォ?!!!!」
男達は反撃しようとするが、青年の冷ややかかつ迫力を醸し出す眼光にビクッと怯むと後退りし、
「「「おっ…覚えてろーっ!!!」」」
皆一目散に退散していった。
「ハァーハハハ!!この紅眼の獣王(レオ)様の前で悪り事すっさげ(から)やパアどもめ!!」
「…………」
人間が……、自分を助けてくれた?
人の姿を借りているからとは言え、ベルフェーゴルは戸惑わずにはいられなかった。
「のぉ?大丈夫だが?」
まだ若干警戒しながらも、ベルフェーゴルはコクコクと小さく頷く。
「あはは、そんげ(そんな)怖がらなくて大丈夫だぞ!!
俺は、なんもしないから。
良がったのぉ~、お金取らいね(取られな)ぐで!!
俺、ああゆう下品な連中見っどイラつくあんよ~っ」
強い訛りで、気さくにペラペラとよく喋る青年に、ベルフェーゴルも徐々に警戒心がとけゆく。
「おめさん、見たとこ俺とおんなじくらいの年かの?
俺は敦岡玲音♪よろしぐの!
おめは??どごの区域から来たなや?」
「…………」
悪魔だとバレて、任務に失敗してはまずい。
ベルフェーゴルは、ウソをつくことにした。
恩人に対してチクチクと罪悪感が生じるが、人間相手と割り切れば、苦しさも和らぐはずだろうと。
「……“フェル”……。
ユーエスエイ区域、から…」
「へぇーっ!!フェルか!!
かっこええ名前だのっ!!」
そんな自分に対し玲音は、騙されていることも知らず満面の笑顔を見せてくれる。
そんな彼に、ベルフェーゴルは申し訳なさを感じてならなかった。
「フェルは、なしてこさ(ここに)来たな?
観光?ビジネス?」
「ビジネスっす…。
でも、慣れない場所で、よくわからなくて…」
「そいだば(それなら)、俺が教えでやっぞ!
なんならやぁ、俺んちさ住んでもかまわねよ?
初めでの場所で大変だろ?」
「………」
確かに、初めての場所ゆえ右も左もわからない上、まだ住む場所さえない。
なのでベルフェーゴルは、彼の言葉に甘える事にした。
人間と住む事に対する嫌悪感も、不思議と彼相手ならば薄れてしまう。
「…うん…」
「よっしゃあ!!決まりだのぉ~!!
嬉しっちゃあ~っ。あ、気ぃ使わねで良さげの?俺、一人暮らしだもん。
んださげ、仲良ぐしようの?フェル!!」
「一人暮らし、なんすか…?」
「戦争や。みぃーんな先に空の向こうさ行っちまった」
玲音は一瞬、影のある顔を見せる。
が、またすぐに太陽のような彼に戻った。
「本当(ほんとえ)寂しっけぇ~~。参った世の中だよのぉ~。
フェル、いつかえぇ世の中さしての?」
本当に寂しかった。
その一言は明るく放たれたが、心の奥底にしまいこまれた重みがサタンであるベルフェーゴルには伝わった。
(ごめん…おいらは、レオの期待に応えられない…)
世界への報復を生きる糧とする悪魔が、良い世の中になどする事は出来ない……
ベルフェーゴルは、初めて人間に対し罪悪感を感じた。