「さっきの話の流れから察するに、キミ達もマナ一族なんでしょ？」
「そうだよ。あゆむがウォークマスター、私が方角師、モンk…タオが格闘家ね」
「オイチェン今なんて言った」
「そっかあ。よろしくね。
でも、どうしてボクみたいな普通の子を神様は選んだんだろう…。
ボク、自分が特別だなんて思えないや…」
「気にしない、気にしない！
普通どころか地味な人だって選ばれてるくらいなんだもん、ランダムなんだよきっと☆」
「僕は気にするよ…チェン」
「…ｯﾁｯ女々しいやつ…」
「Σ(￣ロ￣lll)!!」
タオに舌打ち付きの毒吐きをかまされ、あゆむは体育座りで凹み始めてしまった。
「あれっ？何してるの？あゆむ。
タオ知ってる？」
「知らね」
「そぉーんーなぁーこぉーとぉーよぉーりぃ――っ!!
他の仲間を探しに行こうよ!!
あと１人なんだからパッパと終わらせちゃお?!」
アダムが他の３人を急かす。
「自分のことなのに、わからないままなんてイヤだよ!!
仲間を見つけたら、何か新たに知ることができそうじゃないかい？」
「知りたくない事もあったらどうすんだよ」
「その時はその時さ。受けてたてばいいよ」
「…アダムの言う通りだね。
あと１人、仲間を探さないと」
どうやらあゆむは復活したようだ。
彼は立ち直りが早い。
「どこにいるかはわかんないけど……。
闇雲に探すのもアレだし、いったん倭区域まで戻ってハカセに相談してみようかな」
「ハカセ？だーれ？それ」
「僕を旅に送り出した人だよ。昔から、マナ一族とかについて研究してるみたいなんだ。
ここからだと、いなか道通らなきゃいけないけど大丈夫？」
「………」
「タオー、そんなめんどくさそーな顔しないの」
「OK!!Let's Go!!」
「………」
なんか……バラバラなチームだなぁ。
旅を乗り切れるか、不安にかられるあゆむであった。

一方、その頃。
(…はぁ……めんどくさ…)
倭区域のある町で、ベルフェーゴルはひとり項垂れていた。
人に紛れ込む為、漆黒の翼は消え人間の衣服を着ているが、仲間であるサタンから見れば一度で彼とわかるだろう。
(こんな、慣れない場所でひとりで暮らせだなんて……。
いくら、２代目マナ一族の偵察の為だからって…。
早く帰りたい…こんな知らない人だらけのとこ、めんどくさい。
ヘルデウスのくたびれオヤジ。胃にドリルで穴あけてやる)
ベンチに腰かけたまま、泣きたくなってくるベルフェーゴル。
そんな彼に、数人の男が何やら近寄り、取り囲んできた。
「…………？」
ベルフェーゴルは、緊張気味に顔を上げる。
すると、男の１人がベルフェーゴルの胸元を掴み上げ、彼を強制的に立たせた。
人嫌いのベルフェーゴルは、突然の事にびっくりし対応できず身をこわばらせている。
「よお兄ちゃん、ケガしたくなけりゃおとなしく金出しな」
「そのキレイな顔、傷つけられたくねぇだろ？」
明らかにガラの悪い男達に囲まれ、ベルフェーゴルは怯んでしまい震えて抵抗することができずにいる。
(…やだ……触るな………人間……触るな…………キタナイ………キタナイ………)
しかし、小さな声で二言口にした。
「‥お金、は‥‥。ないっす‥」
「ああ!!?」
「おめえらに差し出す、お金は……。ない…」
その声はか細いが、彼なりの精一杯の抵抗の証。
目には、恐怖に混じり怒りも同じくらい表れている。