第14章 いつの日か、皆
「さーて、皆に挨拶したいけど…。
こん広大な神殿ばぐるぐる歩き回るんはめんどっちかね」
「た、確かに…。疲れそうですしね…」
「そ~んな時こそ!テレパシ~!!」
アダムがビシッと天を指し、名案が浮かんだとばかりにポーズをとる。
「それはいい考えであるな」
「でしょ~My先祖☆
さっそくみんなを呼ぶね!」
アダムは眼を閉じると精神を集中し、仲間達に意思の伝達を始める。
それを見ながらチョルくんは、やはりマナ一族はいかに幼くとも正真正銘の“精霊”なのだと感じた。
(でも、コイツだって普通の人間やった……それなのに、数世紀にも渡る戦いをひたすら前向きに続けている。
俺には、そんなこと出来るだろうか。
たった10年ちょいの人質生活でさえ永く感じられる、俺には……)
前向きに生きるというのは、何かを守り抜くというのは容易い事ではないはずだ。
それがチョルくんには、痛いほどわかる。
(コイツらには、どれほど耐えてきたモノがあるとやろう……?
どれほどの壁を乗り越えて、使命を受け入れてきたとやろう……?)
泣いて笑って怒って悩む、ただの子ども。
しかし、確かに特別な子どもでもあるのだ。
完全に自分と同じ。そんな訳がなかった。
チョルくんは、10年前の己の言葉を反省し、訂正した。
(皆、ただの子どもなんかじゃなか。
尊敬すべき神の子だったんだし…。
そんな皆に、突然おしかけて俺はなんて言葉をかければいいんやろう‥‥)
「――チョルくんっ!?」
「チョルくん…っ?!」
最初に瞬間移動で現れたのは、みほとエディだった。
「よう。なんとか生き長らえとうみたいやなブサメン」
チョルくんは、エディに向かいニヤリと笑顔を浮かべた。
「うっ…うそっ……うそやー!!
なんか、大きなっとるし‥‥夢やないんよね!?」
「夢やち思うなら、いっぺんこん長か足に蹴られてみると?」
「アカン、自分で長い足ゆーてはる……。
この自信ありすぎ具合は本物や、うん…。まがいもんやない……」
「ちょっ…ちょっとォ?!あたしの存在無視してコントしてないでよ!!
でもまた会えて嬉しい!!」
みほは憤慨しながらも、顔は笑っていた。
「チョルくん!?マジでチョルくんが来てんのかよ!?」
「ほんと!!?チョルくん?!!」
「チョルくん!!」
「何!?テチョルが…っ!?」
「テチョル!!」
「チョルくん!!」
「チョルくん!!」
「チョルくんっ!」
次々と、懐かしいマナ一族の皆が姿を現す。
そして、最後に。
「………」
イルカがやって来た。
彼女は、澄んだ眼いっぱいに涙を溜め、声を出せずにチョルくんを見つめ立ち尽くしている。
それはチョルくんも同じで、二人はほぼ同時に互いに溢れる涙を流しながら床を蹴り抱き合った。
言葉などいらない。
ただただ、家族と再会できて嬉しい。
果てしない想いは、10年分の苦しみを溶かし温かな涙に変える。
生きてて、良かった。
「…良かったね…」
シアンが、グスッと涙ぐみ目の前の姉弟を労う。
イルカは、礼を言う代わりにひとつの微笑を彼女に向けた。
こん広大な神殿ばぐるぐる歩き回るんはめんどっちかね」
「た、確かに…。疲れそうですしね…」
「そ~んな時こそ!テレパシ~!!」
アダムがビシッと天を指し、名案が浮かんだとばかりにポーズをとる。
「それはいい考えであるな」
「でしょ~My先祖☆
さっそくみんなを呼ぶね!」
アダムは眼を閉じると精神を集中し、仲間達に意思の伝達を始める。
それを見ながらチョルくんは、やはりマナ一族はいかに幼くとも正真正銘の“精霊”なのだと感じた。
(でも、コイツだって普通の人間やった……それなのに、数世紀にも渡る戦いをひたすら前向きに続けている。
俺には、そんなこと出来るだろうか。
たった10年ちょいの人質生活でさえ永く感じられる、俺には……)
前向きに生きるというのは、何かを守り抜くというのは容易い事ではないはずだ。
それがチョルくんには、痛いほどわかる。
(コイツらには、どれほど耐えてきたモノがあるとやろう……?
どれほどの壁を乗り越えて、使命を受け入れてきたとやろう……?)
泣いて笑って怒って悩む、ただの子ども。
しかし、確かに特別な子どもでもあるのだ。
完全に自分と同じ。そんな訳がなかった。
チョルくんは、10年前の己の言葉を反省し、訂正した。
(皆、ただの子どもなんかじゃなか。
尊敬すべき神の子だったんだし…。
そんな皆に、突然おしかけて俺はなんて言葉をかければいいんやろう‥‥)
「――チョルくんっ!?」
「チョルくん…っ?!」
最初に瞬間移動で現れたのは、みほとエディだった。
「よう。なんとか生き長らえとうみたいやなブサメン」
チョルくんは、エディに向かいニヤリと笑顔を浮かべた。
「うっ…うそっ……うそやー!!
なんか、大きなっとるし‥‥夢やないんよね!?」
「夢やち思うなら、いっぺんこん長か足に蹴られてみると?」
「アカン、自分で長い足ゆーてはる……。
この自信ありすぎ具合は本物や、うん…。まがいもんやない……」
「ちょっ…ちょっとォ?!あたしの存在無視してコントしてないでよ!!
でもまた会えて嬉しい!!」
みほは憤慨しながらも、顔は笑っていた。
「チョルくん!?マジでチョルくんが来てんのかよ!?」
「ほんと!!?チョルくん?!!」
「チョルくん!!」
「何!?テチョルが…っ!?」
「テチョル!!」
「チョルくん!!」
「チョルくん!!」
「チョルくんっ!」
次々と、懐かしいマナ一族の皆が姿を現す。
そして、最後に。
「………」
イルカがやって来た。
彼女は、澄んだ眼いっぱいに涙を溜め、声を出せずにチョルくんを見つめ立ち尽くしている。
それはチョルくんも同じで、二人はほぼ同時に互いに溢れる涙を流しながら床を蹴り抱き合った。
言葉などいらない。
ただただ、家族と再会できて嬉しい。
果てしない想いは、10年分の苦しみを溶かし温かな涙に変える。
生きてて、良かった。
「…良かったね…」
シアンが、グスッと涙ぐみ目の前の姉弟を労う。
イルカは、礼を言う代わりにひとつの微笑を彼女に向けた。