第13章 ただ、生きているだけで
「あの子と、ピアノを連弾したり音楽会に行った日々が懐かしいわ…。
今でもまだ、ミルフィーユは好きなのかしら」
「もうやめなさい。
彼奴は、すでに勘当したのだ。
人間ですらなくなってしまったのだぞ…思い出したところで…」
「何になるのだ、って?」
「「!!!?」」
音もなく現れた男に、二人は驚き椅子から立ち上がる。
緩やかな黒髪に全身に漆黒の装束、深い黒の翼。
その不気味な姿は……。
「…悪、魔……?」
ジャンヌは、全身から血の気が引くのを感じた。
「正解だ、マダム。
私は、“傲慢”を司る悪魔ルシファー‥」
レミは、ジャンヌを庇うように彼女を自らの後ろにやる。
「あなた方の御子息には、大変迷惑こうむってるのでね。
まずは生み育てた親御さんに、責任を取って頂かねば」
冷笑しルシファーは、邪悪なオーラを纏う。
「ふざけるな!あれはあれ、私達は私達だ!
もうなんの関係性もない!!
今すぐ、敷地内から立ち去れ!!」
「…“お父様”、心が悲鳴をあげていらっしゃいますよ?」
なすすべもなく、徐々に、悪魔の纏う禍々しいオーラが増幅される。
「―――――‥!!!」
ゾクリ。
神殿で、エディは未だかつてない悪寒に背筋を凍らせる。
自分の勘が正しければ、アムール区域に悪魔が潜んでいる。
それも、自分の生家で…。
エディは、ガタガタと震えの止まらない体で、必死に考えた。
(わいは…わいは、あの家に足を踏み入れる事は赦されへんねや…。
どうしたら……。どうしたら………)
…でも……!
(お父様…お母様……!
あなた方の、“明日”が、踏みにじられる事だけは…っ!!!)
決意し、地上に瞬間移動しようとエディは精神を集中させようとする。
しかし、
「エディ……」
ちょうどそこにやって来たみほに気付き、中断させた。
「みほ…」
「その顔……。何か、大変な事が起こってるのね?」
「‥うん‥‥。
わいの家族が、悪魔の手にかかっとる。
ちょっと、行って来るわ」
「お願い、あたしも一緒に行かせて!必ず力になるから!」
「アカンよ…」
「何がダメなの!こんな時なのよ!!戦争中なのに……。
勝率を上げるには、ひとりより、二人でしょ!?
死にたいの?!」
みほがどんなに説得するも、エディは意思を変えずにいる。
今でもまだ、ミルフィーユは好きなのかしら」
「もうやめなさい。
彼奴は、すでに勘当したのだ。
人間ですらなくなってしまったのだぞ…思い出したところで…」
「何になるのだ、って?」
「「!!!?」」
音もなく現れた男に、二人は驚き椅子から立ち上がる。
緩やかな黒髪に全身に漆黒の装束、深い黒の翼。
その不気味な姿は……。
「…悪、魔……?」
ジャンヌは、全身から血の気が引くのを感じた。
「正解だ、マダム。
私は、“傲慢”を司る悪魔ルシファー‥」
レミは、ジャンヌを庇うように彼女を自らの後ろにやる。
「あなた方の御子息には、大変迷惑こうむってるのでね。
まずは生み育てた親御さんに、責任を取って頂かねば」
冷笑しルシファーは、邪悪なオーラを纏う。
「ふざけるな!あれはあれ、私達は私達だ!
もうなんの関係性もない!!
今すぐ、敷地内から立ち去れ!!」
「…“お父様”、心が悲鳴をあげていらっしゃいますよ?」
なすすべもなく、徐々に、悪魔の纏う禍々しいオーラが増幅される。
「―――――‥!!!」
ゾクリ。
神殿で、エディは未だかつてない悪寒に背筋を凍らせる。
自分の勘が正しければ、アムール区域に悪魔が潜んでいる。
それも、自分の生家で…。
エディは、ガタガタと震えの止まらない体で、必死に考えた。
(わいは…わいは、あの家に足を踏み入れる事は赦されへんねや…。
どうしたら……。どうしたら………)
…でも……!
(お父様…お母様……!
あなた方の、“明日”が、踏みにじられる事だけは…っ!!!)
決意し、地上に瞬間移動しようとエディは精神を集中させようとする。
しかし、
「エディ……」
ちょうどそこにやって来たみほに気付き、中断させた。
「みほ…」
「その顔……。何か、大変な事が起こってるのね?」
「‥うん‥‥。
わいの家族が、悪魔の手にかかっとる。
ちょっと、行って来るわ」
「お願い、あたしも一緒に行かせて!必ず力になるから!」
「アカンよ…」
「何がダメなの!こんな時なのよ!!戦争中なのに……。
勝率を上げるには、ひとりより、二人でしょ!?
死にたいの?!」
みほがどんなに説得するも、エディは意思を変えずにいる。