第13章 ただ、生きているだけで

「…ま、どこぞの金髪ブサメンの受け売りやけどな。
悔しいけど正論じゃなかと?」
そう。かつての仲間の、生きる為の信条。
苦しい時に思い出しては、いつも不思議なほどに背中を押されたのだ。
「なにそれカッコイ~~~~。
一瞬、君のオリジナルかと思ったよ。方角師風味かぁ」
ルシファーが笑顔で言った。
「何が方角師風味や。料理みてえな言い方すんなっちゃの」
ベルフェーゴルがすかさず突っ込む。
「…じゃあ、by方角師」
「…もーなんでもいいっす。めんどくさくなってきた…」
「確かに、後悔したところで辛くなるだけだよね」
ベルゼバブがチョルくんの言葉に賛同した。
「敵の言うことに学ばさせられるなんて、なんっか悔しいなぁ~。
よしっ!あたいも次やるべき事やる!まずは夜ごはん!」
「おめえ、パアなんすか……?」
「彼女が司るのは“暴食”だしな。
良いのではないか?」
軽くあきれるベルフェーゴルに、ヘルデウスが笑顔でベルゼバブのフォローをする。
「そういやまだ飯ば食うとらんな。
おいルシファーの野郎、お前作りんしゃいよ」
「何言ってるんだい。今日の当番はヘルデウス様ではないか」
「ああ。そうだったしそうだったし。
早よクッキングせんねブサメン親父」
(…私、王よな……?)
「‥あーあ。なんか、悩むのもバカバカしくなって来たわ。
もういいや、竜太郎の手当てして来よっと」
「??竜太郎っち誰だし?」
「私の火竜の名前。
初代ウォークマスターの坊やに半殺しにされたまんまなのよね。
まったく、人様(?)のペットを‥‥」
何そのやたら和風な地獄のペットby一同
「ほんと、いつかピンヒールで踏み潰してやるんだから…」
ブツブツとホトに関しての文句を言いながら去るアスデモスの後ろ姿を、一同は無言で見届けた。
「…竜太郎だけやのーて、部下の手当てもしてあげればよかろーもん」
「今のアスデモス嬢の頭の中には、竜太郎とウォークマスター君しかいないさ。
混沌だねえ」
「ねーっ、あたいお腹すいた~」
「んだよのぉ~(そうだよね)…。おいらも飯欲しっちゃあ~。
早くして下さいヘルデウス様。待つのめんどくさい」
「………」
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