第13章 ただ、生きているだけで

「なーに言ってんのよ?
それくらいで、あたし達が離れるわけがないじゃないっ?」
みほは、パチリとウインクする。
「ずうっと僕達のこと、出会った時から見守っててくれたんですよね?」
ミンウが優しく言った。
「どういうカラクリでそんな事が出来るのかは知らねえが、だからってなんでお前を避ける必要があるんだ?
どうせ俺達、みんな変わったヤツの集まりなんだからよ。ははは!」
ホトが揚々に笑う。
「ヒミコくんがどんな子でも、ボク達はずうっと友達だよ!」
シアンが力強く言った。
「ヒミコ、いい人だもんね。全然平気だよ」
あゆむが言った。
「我が輩、ヒミコの事これからも信じてるのである」
次に、イリスェントが。
「ボク、ヒミコちゃん大好き!!また遊んでね!」
アダムは満面の笑顔でヒミコに抱き付いた。
その瞬間、ヒミコは後から後から涙が溢れ、アダムをギュッと抱き締めた。
溜めていた思いが、溶かされてゆく。
「すまぬ…皆……。
すまぬ………」
「もういいんですよ、ヒミコさん。
みんな、わかってますから」
コルちゃんがヒミコの頭を小さな手で撫でる。
「ヒミコ。泣くな。笑顔だ」
マオは、ヒミコに微笑みかけた。
ヒミコも、そんな彼に励まされ涙を拭き微笑み返した。
「しかし、意外だよね…アスデモスが、あの日を後悔しチョルくんを可愛がっていただなんて」
神妙な顔であゆむが呟いた。
「そうだとしたら……チョルくんは、殺されたりする心配はないって事?
この戦争中も、彼は安全の身だと思っていいのかな…」
「そんな事、わかりませんわ。
悪魔はなんだってするのよ」
「そうだよ!油断しちゃダメ!」
あゆむに、イルカとアダムが厳しい意見を下す。
「心配ありませんよ。
チョルくんを信じていれば、きっといつか元気な姿で再会できます。
その日まで戦い抜きましょう」
マナが、迷いなくやんわりとイルカとアダムに進言する。
彼女の言葉と態度に励まされたのか、二人は落ち着きを取り戻した。
「…そう、ですわね。あの子を信じてあげなくては」
「うん!チョルくんなら大丈夫だよね!!
死んだりしないよね!」
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