第13章 ただ、生きているだけで

「―――…」
マナの神殿を、温かく清らかな光が包み込む。
イルカが詠唱を終えると、光は徐々に穏やかに消えた。
「皆さん、もう大丈夫?」
「あ~ん…超痛かったぁ~!イルカくんありがと~!!」
シアンが、傷のあった綺麗な肌をさする。
「はい、完治しました。ダンニャワード」
コルちゃんは母語でお礼を言った。
「やはり、治癒の魔術は凄いであるな…。
アットホームに治ったのである」
「え?アットホーム……?
あったかい感じに…って、事?」
「い、言い間違えた!あっというまにと言いたかったのである!」
チェンにツッコまれ、イリスェントは赤面しながら訂正する。
「アットホームに治るってお前!アハハハ!!」
「きゃははは!!イリスェントでも言い間違いすることあるんだ~~っ!」
それがツボにハマったらしく、タオとアダムが爆笑する。
「それにしても、ものすごい魔力であったな……。
防御の魔術を唱える余裕もなかった」
マオが、負傷の原因となった出来事を思い出しながら呟く。
(…僕…。あれとおんなじ事を、シオミ村の人々に………)
暴発するアスデモスの魔力を見て、そしてじかに受け止めついにミンウは肌で感じた。
得体の知れぬチカラに襲われ飲み込まれる、恐ろしさを。
現在はマナのチカラをコントロールできるようになったと言えど、それを思うとミンウはゾッと背筋が凍り付いた。
「…ミンウ、どないしたん?
震えとるで」
「大丈夫です…ちょっと、寒いだけ」
エディに心配をかけまいと、ミンウは嘘を付いた。
が、
「ミンウのウソつき。その顔は寒い顔やあらへん」
両側のほっぺたを伸ばされてしまう。
これには、他の皆もさすがに驚いた。
「いっ、いひゃいれす(痛いです)~~っ」
「なっ、何してんのよエディ?!!あんた意外にボーリョク男ね!」
「エディ、どうしましたの…?おやめあそばせ」
「ミ、ミンウさんが……」
「いやああ、ミンユーのほっぺたがみょんみょん伸びてるよ~!!」
みほ、マナ、コルちゃん、チェンが止めに入ろうとする。
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