第12章 終わりなき世界で…

『これから、地上にお買い物に行くのよ。
人の姿を借りてだけどね。
あなたも、荷物持ちお手伝いしてね』
『お買い物?!チョルくんば連れてってくれると!?
人質なのに!?』
『もちろんよ。ただお城にこもってるんじゃあ、不健康だわ。
あなた一応成長期なんだから。
荷物持ちがんばってくれたら、何か好きなものひとつ買ったげるわよ』
『わかったし!チョルくんお手伝いがんばるし!!』
『ありがとう。いい子ね…』
信じられない。信じられない。
目の前の敵が、人質に対し母性を見せているだなど。
その他にも、流れて来る記憶は優しい記憶ばかり。
ヒミコは、衝撃のあまり戦意喪失してしまう。
「‥お主‥‥‥」
「――視るな!!!マナ一族!!!!」
アスデモスは、悲痛に叫ぶと体内から魔力を暴発させた。
「ぐあっ……!!!」
「きゃああ!!?」
「わああ!!!」
嵐のような魔力に、一同は必死に耐える。
魔力の暴走が止むと、その場からアスデモスの姿は消えていた。
「…ヒミコ……」
「……………」
ホトが声をかけるも、ヒミコは茫然としたままだ。
「奴は………」
そして、ポツリと口を開く。
「奴は…何を考えておる……?悪魔は…一体、何を考えておるのじゃ………?」
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