第12章 終わりなき世界で…
「この浮き世には、自分が信じられぬと思うても存在する物が無数にあったりするものじゃ。
八百万の神、おちゃめな方面では幽霊や妖怪とかの」
「上様は…。そのいずれかに、会うたのでござりまするか?」
「おお、勿論じゃ?
亡き祖母を見たり、夜中に誰のともなき不可思議な声を聞いたりしたのう」
「わ……、わあ!」
ホトはわくわくと目を輝かせる。
「凄い!凄うございます…!
普段見えずとも、不思議な万物がいずこかにいるのですね!」
ちょうど髪を結い終え、ホトはドキドキとする胸を押さえた。
「凄いじゃろう?
そなたも何か、凄い体験をしたら聞かせてくれ」
「はい!」
殿様は、穏やかな微笑みを向けるとスッと立ち上がった。
「では、朝飯に行くとするかの。
歩人、付いて参れ」
「はい、上様!
…あの。先日はおせんべい、誠にかたじけのうございました。とても、おいしゅうございました」
ホトは、畳に両手を付けたまま頭を下げた。
「ははは、良い良い。せんべいの1枚や2枚くらい。
そなたさえ良ければ、今日も多めに焼くが如何かな?」
「ええっ、良いのですか?!では、本日は塩味が良うございます!」
「うむ、良かろう」
「やったー!上様男前!!」
「はははは、調子の良いヤツじゃ!」
「あははは!だって美味いんですもん!」
「…なあ、殿と歩人はいつ来るのだ?
朝げが冷めるのだが……」
「歩人も可愛がられておるゆえなあ……。
まーた何か話しでもして盛り上がっておるのだろう」
「だ、誰か早よう二人を呼びに行かぬかっ!?」
「いやいや、歩人のみならいざ知らず上様もいらっしゃるのだぞ?!
生意気にも早く来いバカ殿などと申せるか!!」
「こら貴様!!主君をバカ殿呼ばわりするとは何事か?!
まあ黙っててやるがな!!」
「かたじけない!!」
既に集まっていた家臣達が待ちくたびれている事を、殿様とホトはつゆほども知らない。
八百万の神、おちゃめな方面では幽霊や妖怪とかの」
「上様は…。そのいずれかに、会うたのでござりまするか?」
「おお、勿論じゃ?
亡き祖母を見たり、夜中に誰のともなき不可思議な声を聞いたりしたのう」
「わ……、わあ!」
ホトはわくわくと目を輝かせる。
「凄い!凄うございます…!
普段見えずとも、不思議な万物がいずこかにいるのですね!」
ちょうど髪を結い終え、ホトはドキドキとする胸を押さえた。
「凄いじゃろう?
そなたも何か、凄い体験をしたら聞かせてくれ」
「はい!」
殿様は、穏やかな微笑みを向けるとスッと立ち上がった。
「では、朝飯に行くとするかの。
歩人、付いて参れ」
「はい、上様!
…あの。先日はおせんべい、誠にかたじけのうございました。とても、おいしゅうございました」
ホトは、畳に両手を付けたまま頭を下げた。
「ははは、良い良い。せんべいの1枚や2枚くらい。
そなたさえ良ければ、今日も多めに焼くが如何かな?」
「ええっ、良いのですか?!では、本日は塩味が良うございます!」
「うむ、良かろう」
「やったー!上様男前!!」
「はははは、調子の良いヤツじゃ!」
「あははは!だって美味いんですもん!」
「…なあ、殿と歩人はいつ来るのだ?
朝げが冷めるのだが……」
「歩人も可愛がられておるゆえなあ……。
まーた何か話しでもして盛り上がっておるのだろう」
「だ、誰か早よう二人を呼びに行かぬかっ!?」
「いやいや、歩人のみならいざ知らず上様もいらっしゃるのだぞ?!
生意気にも早く来いバカ殿などと申せるか!!」
「こら貴様!!主君をバカ殿呼ばわりするとは何事か?!
まあ黙っててやるがな!!」
「かたじけない!!」
既に集まっていた家臣達が待ちくたびれている事を、殿様とホトはつゆほども知らない。