第11章 悲壮なる開戦
「その時代から、今のような関係が始まり‥‥我々に対抗せんと創られたのが、あのマナ一族達だ」
「…俺、もう嫌だし…っ!人間でなんて、いとぉなか!
こんな、誰かを傷付けるだけの生き物でなんていとおない!!」
チョルくんは、目に涙を滲ませ叫ぶ。
それは、人類の愚かさへの絶望の叫びだった。
「…お前が自分を卑下したところで、歴史は戻りはしない」
ヘルデウスは静かに言った。
「何が善くて誰が正しいかなど、誰にもわからん。
これから自分で見極め、君なりの答えを私達に教えてくれ。
私達サタンの存在の、あるうちに」
「……わかった…。
でも、ひとつだけ言っといちゃる」
チョルくんは、まっすぐに目の前の悪魔王を見据えた。
涙に濡れた、澄んだ瞳で。
「例えどげな答えば見出だそうとも、お前らの事ば忘れん。
別れる事になったとしても、お前らがおった日々を一生忘れん。
お前らが、いつの日かこの世界からいなくなろうとも……」
絶対に消さない。
不器用で優しい、大切な人達の存在を……。
やがて、天上界にヘルデウスのマナの者に対する宣戦布告が重々しく掲げられた。
戦争が始まる。
この現実は、マナの者に緊張と不安を与えた。
これから、どう行動すべきか。
どうすれば世界を守れるか。
子ども達は考えを強いられる事となろう。
「いつかは、こうなるだろうと予感してたんだ。
悪魔だって、だてに世界征服企んじゃいねぇし」
「タオさん…。あなたは、最初からわかっていたんですか?」
コルちゃんが、不安そうな表情でタオに訊ねる。
タオは無表情で答えた。
「いや、最初っからってわけではないぜ。
ただ、悪魔との戦争は昔にもあったんだ。でも今回は絶対大規模になる気がする」
「…そう‥ですか…」
「大丈夫か?怖くないか?」
そっとタオは気づかいを見せた。
「正直、怖いです……。悪魔なんて、怖い……。
でも、わたしはマナ一族。
天に選ばれし学者です。
だから…逃げるのは、赦されない」
コルちゃんは、服の裾を握りしめ弱気を封じ込めるように紫の瞳に力を宿す。
「甘えてられない‥‥。わたし、戦わなくちゃ」
「そうだな…。でも、オレ、こうも思うんだよ」
「どう思うんですか?」
「…俺、もう嫌だし…っ!人間でなんて、いとぉなか!
こんな、誰かを傷付けるだけの生き物でなんていとおない!!」
チョルくんは、目に涙を滲ませ叫ぶ。
それは、人類の愚かさへの絶望の叫びだった。
「…お前が自分を卑下したところで、歴史は戻りはしない」
ヘルデウスは静かに言った。
「何が善くて誰が正しいかなど、誰にもわからん。
これから自分で見極め、君なりの答えを私達に教えてくれ。
私達サタンの存在の、あるうちに」
「……わかった…。
でも、ひとつだけ言っといちゃる」
チョルくんは、まっすぐに目の前の悪魔王を見据えた。
涙に濡れた、澄んだ瞳で。
「例えどげな答えば見出だそうとも、お前らの事ば忘れん。
別れる事になったとしても、お前らがおった日々を一生忘れん。
お前らが、いつの日かこの世界からいなくなろうとも……」
絶対に消さない。
不器用で優しい、大切な人達の存在を……。
やがて、天上界にヘルデウスのマナの者に対する宣戦布告が重々しく掲げられた。
戦争が始まる。
この現実は、マナの者に緊張と不安を与えた。
これから、どう行動すべきか。
どうすれば世界を守れるか。
子ども達は考えを強いられる事となろう。
「いつかは、こうなるだろうと予感してたんだ。
悪魔だって、だてに世界征服企んじゃいねぇし」
「タオさん…。あなたは、最初からわかっていたんですか?」
コルちゃんが、不安そうな表情でタオに訊ねる。
タオは無表情で答えた。
「いや、最初っからってわけではないぜ。
ただ、悪魔との戦争は昔にもあったんだ。でも今回は絶対大規模になる気がする」
「…そう‥ですか…」
「大丈夫か?怖くないか?」
そっとタオは気づかいを見せた。
「正直、怖いです……。悪魔なんて、怖い……。
でも、わたしはマナ一族。
天に選ばれし学者です。
だから…逃げるのは、赦されない」
コルちゃんは、服の裾を握りしめ弱気を封じ込めるように紫の瞳に力を宿す。
「甘えてられない‥‥。わたし、戦わなくちゃ」
「そうだな…。でも、オレ、こうも思うんだよ」
「どう思うんですか?」