第11章 悲壮なる開戦
「マナの女神…いや……エイレンテューナ………!!」
「…ヘル…デウ、ス……」
チョルくんが立ち尽くしていると、バンと乱暴にドアの開かれる音がした。
騒ぎを聞き付け、ルシファーが扉を開けたのだ。
「いかがなさいました?!ヘルデウス様!!」
「一体、なしたや…?大きい声が…」
ルシファーとベルフェーゴルが、部屋に飛び込みヘルデウスに一斉に駆け寄った。
双方とも、顔面に焦りの色を浮かべている。
「ヘルデウス様!ヘルデウス様!!」
ルシファーに激しく揺さぶられ、ヘルデウスはハッと我に帰った。
「…お、お前達……」
「大丈夫ですか。どうか、お気を確かに」
「らしく…ないっすよ……」
「……………」
ヘルデウスは若干ふらつきながら立ち上がり、ドアの取っ手に手を掛けた。
「――…すまない…。少々、外の空気を吸って参る…」
パタンと扉が静かに閉まると、ルシファーは浅く溜め息をついた。
「あの方も、気苦労が絶えないよね」
「本当っす…」
「…あいつ…。なして……?」
チョルくんはおずおずと二人に話しかける。
二人は無言で振り向いた。
「俺、なんもしとらん……。本当だし…。
なんば、ヘルデウスはあんなになるまで悩んどったと……?
あんなの……いつものあいつじゃなか……」
「別に、おめえは悪くねえっす。何があったか、さっき大体わかったから。
心、読んで…」
「ヘルデウス様のお悩みもね。
うーん……。コレは、勝手に話してしまっていいのかな?
私達サタンは周知の事情だが、こればっかりは‥‥。ご本人に訊いたほうがいいよ」
「‥そっか‥。何か、大変な事があったんやね。
わかった…。直接、ヘルデウスに訊く。
人質なんだし、それぐらいの権利はある‥」
チョルくんは、表情に蔭を宿し目を伏せた。
「…ヘル…デウ、ス……」
チョルくんが立ち尽くしていると、バンと乱暴にドアの開かれる音がした。
騒ぎを聞き付け、ルシファーが扉を開けたのだ。
「いかがなさいました?!ヘルデウス様!!」
「一体、なしたや…?大きい声が…」
ルシファーとベルフェーゴルが、部屋に飛び込みヘルデウスに一斉に駆け寄った。
双方とも、顔面に焦りの色を浮かべている。
「ヘルデウス様!ヘルデウス様!!」
ルシファーに激しく揺さぶられ、ヘルデウスはハッと我に帰った。
「…お、お前達……」
「大丈夫ですか。どうか、お気を確かに」
「らしく…ないっすよ……」
「……………」
ヘルデウスは若干ふらつきながら立ち上がり、ドアの取っ手に手を掛けた。
「――…すまない…。少々、外の空気を吸って参る…」
パタンと扉が静かに閉まると、ルシファーは浅く溜め息をついた。
「あの方も、気苦労が絶えないよね」
「本当っす…」
「…あいつ…。なして……?」
チョルくんはおずおずと二人に話しかける。
二人は無言で振り向いた。
「俺、なんもしとらん……。本当だし…。
なんば、ヘルデウスはあんなになるまで悩んどったと……?
あんなの……いつものあいつじゃなか……」
「別に、おめえは悪くねえっす。何があったか、さっき大体わかったから。
心、読んで…」
「ヘルデウス様のお悩みもね。
うーん……。コレは、勝手に話してしまっていいのかな?
私達サタンは周知の事情だが、こればっかりは‥‥。ご本人に訊いたほうがいいよ」
「‥そっか‥。何か、大変な事があったんやね。
わかった…。直接、ヘルデウスに訊く。
人質なんだし、それぐらいの権利はある‥」
チョルくんは、表情に蔭を宿し目を伏せた。