第10章 統べる者の想い、仕える者の葛藤
20分ほど廊下を歩いていると、隣の部屋から銃声が耳に入った。
不思議に思い部屋の中に入ってみると、なんとアダムが射撃の特訓を行っていた。
的の中心にどんどん弾が撃ち込まれてゆく。
集中しているのか、アダムはイリスェントに気がついていない。
「…アダム」
「…あ、イリスェント!」
声をかけられようやく気がつき、アダムはくるっとイリスェントの方を振り向いた。
「徹夜すると言っていたのは、射撃の訓練をする為であったのか。偉いであるな。
なんなら、我が輩も誘ってくれても良かったのに」
「ううん、今夜はひとりでがんばりたかったの。
イリスェント…来たってことは、見たんでしょ?ボクの顔‥」
イリスェントが見たのは、いつもの無邪気さが消えて、冷たく張り詰めていた横顔。
イリスェントは、無言で頷いた。
「あ~あ。皆には…特にキミには、見せたくなかったのになあ」
言いながらアダムはまた前を向き、的にハンドガンを構えた。
「何か……嫌な事でも、思い出したのであるか?」
イリスェントは、心配そうな表情で静かに訊ねた。
対しアダムは、数秒間間をおいてから答えた。
「…ボク、イルカちゃんの家族を奪った悪魔だいっきらいだ。ボクの家族も、戦争で敵に奪われたから……」
――ドン!ドン!
的に外す事なくハンドガンを撃ち込む。
「ダディーもマミーも殺されて、お姉ちゃんは拐われてった。
1000年も経った今では、もう生きてすらいないだろうけれど‥‥あれからお姉ちゃんがどうなったかすらわからなくて、ひとりぼっちで寂しかった。悔しかった。
きっと、イルカちゃんもおんなじだよね…」
やがて的は、たくさんの銃弾で穴だらけになった。
アダムは静かにハンドガンを下ろした。
「略奪者は赦せない。殺人者も、嫌い。
戦いで誰かを傷付ける人は大嫌いだ」
「…では…。我が輩の事も、嫌うか?」
イリスェントがポツリと呟く。
「え……?」
アダムは、彼の方を振り向いた。
不思議に思い部屋の中に入ってみると、なんとアダムが射撃の特訓を行っていた。
的の中心にどんどん弾が撃ち込まれてゆく。
集中しているのか、アダムはイリスェントに気がついていない。
「…アダム」
「…あ、イリスェント!」
声をかけられようやく気がつき、アダムはくるっとイリスェントの方を振り向いた。
「徹夜すると言っていたのは、射撃の訓練をする為であったのか。偉いであるな。
なんなら、我が輩も誘ってくれても良かったのに」
「ううん、今夜はひとりでがんばりたかったの。
イリスェント…来たってことは、見たんでしょ?ボクの顔‥」
イリスェントが見たのは、いつもの無邪気さが消えて、冷たく張り詰めていた横顔。
イリスェントは、無言で頷いた。
「あ~あ。皆には…特にキミには、見せたくなかったのになあ」
言いながらアダムはまた前を向き、的にハンドガンを構えた。
「何か……嫌な事でも、思い出したのであるか?」
イリスェントは、心配そうな表情で静かに訊ねた。
対しアダムは、数秒間間をおいてから答えた。
「…ボク、イルカちゃんの家族を奪った悪魔だいっきらいだ。ボクの家族も、戦争で敵に奪われたから……」
――ドン!ドン!
的に外す事なくハンドガンを撃ち込む。
「ダディーもマミーも殺されて、お姉ちゃんは拐われてった。
1000年も経った今では、もう生きてすらいないだろうけれど‥‥あれからお姉ちゃんがどうなったかすらわからなくて、ひとりぼっちで寂しかった。悔しかった。
きっと、イルカちゃんもおんなじだよね…」
やがて的は、たくさんの銃弾で穴だらけになった。
アダムは静かにハンドガンを下ろした。
「略奪者は赦せない。殺人者も、嫌い。
戦いで誰かを傷付ける人は大嫌いだ」
「…では…。我が輩の事も、嫌うか?」
イリスェントがポツリと呟く。
「え……?」
アダムは、彼の方を振り向いた。