怪しい二人

あんなこと言わなきゃ良かった。
そう思う事、人間誰しも1度は経験があるはず。

「どうしたのフィーノ?今日1日中ずっとイライラしちゃって」
寮の部屋にキャンディが遊びに来たかと思えば、突然こんな事を言われたフィーノ。
フィーノは表情を曇らせてうつむいた。
「キャンディに言ったら絶対怒るよ」
「怒る前に、言われてみなきゃ怒るかどうかもわからないわよ!ほら、言ってみて?」
ね?と背中をポンポン叩くキャンディに、フィーノは小さな声で明かし始めた。
「……今朝、オリーブに『オリーブとガナッシュって仲いいよね。結婚しちゃえばいいのに』って言っちゃったの。別にオリーブに悪いとか思ってるわけじゃないんだけど、それでモヤモヤしてるの」
「どうしてそんな事言うのよ!?ガナッシュとオリーブがくっついたらどうするつもり!?」
「ほら、怒った……」
思わず焦りの形相で声を荒げるキャンディに、フィーノはだから言ったのにと心で呟いた。
「あっ、ごめん……。でもさ、なんでフィーノがそれでモヤモヤするの?まさかフィーノも…………」
「うん、僕もガナッシュが好きなの。それでつい、オリーブがガナッシュにベタベタしてるのが気にくわなくてオリーブにイヤミ言ったの……。……ほんとに結婚したりしないよね?」
「わからないわ……オリーブとガナッシュに訊いてみなくちゃ。まさかあの二人……お互いに好きなんじゃ!?イヤ――――――!!!!」
ありもしないことを想像して、キャンディは絶叫した。
「うわ~!!そんなの僕もやだよ~!!ねえっ、お願い!キャンディから二人に訊いてみてよ!」
「なんで!?言い出しっぺはフィーノよ!」
「オリーブとはなるべく話したくないし、ガナッシュに直接訊くのも怖いのっ!ねっ!?お願い!!僕達、友達でしょ!?ねっ!?」
「……しょーがないなぁ~。恋のライバルの頼みだけど、きいてあげるか」
キャンディはニッと笑った。
「その代わり、私とフィーノ、どっちがガナッシュとくっついても恨みっこなしだからね!負けないよ!」
「うん、僕も負けない!お互い頑張ろうね!」
フィーノも、ようやく笑顔になった。

翌日、キャンディが持ち前の積極的さでガナッシュとオリーブにダイレクトに尋ねてみたところ、二人には恋愛感情はなく、ただの友人にしか思ってないらしい。
これを聞いて、キャンディはもちろんフィーノも心から安堵したのだった。
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